コロナ禍における保育施設の感染対策について、2022年度から2023年度にかけて対策が緩和され、集団行事なども制限なしで実施する施設が増加したことが、国立成育医療研究センターとコドモンが実施した調査より明らかになった。
調査は2023年7月28日から9月4日、全国の「CoDMON (コドモン)」を導入している保育施設(認可保育園、認定こども園、小規模保育事業など)を対象にWebアンケートにて実施。回答を得た549施設のデータを分析した。
回答結果を2022年度と2023年度で比較すると、登園時の「検温」や「本人の体調の確認(咳・鼻汁など)」は多くの施設で継続されていたが、「家族の体調の確認(咳・鼻汁など)」については、2022年度には70%以上の施設で確認していたものの、2023年度は30%程度に減少していた。また、施設内での感染対策では、「手洗い・手指消毒の徹底」「共有スペースや共有物の消毒」は多くの施設で継続して実施されていたが、「マスク着用の義務化」は2022年度で50%弱、2023年度では10%に満たないほど低下していた。
食事中の感染対策として、2022年度は「黙食」や「仕切りの設置」など半数程度の施設で実施していたが、2023年度には10%未満に減少。「屋外でのマスク着用」や「唱歌時のマスク着用」について、2022年度は20%程度みられたものの、2023年度は多くの施設で着用の義務はなくなっていた。
集団行事の実施状況については、2022年度は制限を設けずに実施したのは「遠足」で20%程度みられたものの、「運動会」「保育参観」「お遊戯会」などは10%未満であった。しかし、2023年度は「運動会」で60%程度、「遠足」70%程度、「保育参観」60%程度、「お遊戯会」50%程度と、多くの施設で参加者の人数制限なしに行われたことがわかった。
新型コロナウイルスパンデミックを経験したことにより、より密接に連携したいと考える施設外の職種について調査をしたところ、「保健所の職員(保健師など)」がもっとも多く、ついで「地方自治体の職員」「医師(園医・嘱託医)」という結果になった。
そのほか、調査では、感染対策に使用したアイテムや、施設内の感染対策に影響を与えた職種や情報源、推奨されていない感染対策アイテムの使用と関連する要因などについても分析している。研究の成果は、感染症分野の学術誌「Journal of Infection and Chemotherapy」に原著論文として掲載。詳細は論文にて確認することができる。
国立成育医療研究センターとコドモンは、今回の調査から、子供たちの集団保育・教育の現場での感染対策の実態、連携の需要のある職種などの情報を明らかにすることができたとし、今後は将来的なパンデミックに対する準備として、感染対策の効果的な方法と適切な資源の選択、専門家との連携強化に関するさらなる研究を実施していくとまとめた。