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【クレーム対応Q&A】学校で撮った写真が悪用されている

クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第155回のテーマは「中学受験するかどうか、志望校などについて学校で話題にしないよう指導してほしい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第156回のテーマは「学校や園で撮った写真が悪用されている」。

GIGA端末普及の陰に潜む問題点

 新型コロナウイルスは社会に大きな影響を与えました。子供の育ちや学びに色々な制限がかかるなど、負の影響がたくさんありました。日本の教育・保育における問題点がいくつもの見えることとなりました。逆に、そういった状況の中で大きくプラスだったものもあります。私が考えるプラスのもので、もっとも大きなものは「GIGAスクール構想による一人一台端末」です。「GIGAスクール構想」はコロナの流行前から進められていた政策だったのですが、コロナによって一気に進みました。コロナ前まで、学校におけるタブレット/PCの活用に関して、日本は世界の中で遅れている国でした。それがこの数年で一気に進み、世界の中でも充実した状況の国の1つへと変わってきています。

 現在、学校において、GIGA端末を用いた個別最適な学びが進められています。子供の学びにおいて非常に良いことだと思います。ただ、負の面も見えてきています。SNSなどを用いたいじめなどはその1つです。また、今回のテーマである「写真の不適切な使用」も問題点の1つです。今回のテーマである「写真の不適切な使用」は大きく2つに分けて考える必要があります。1つは「子供が悪用する」ケースです。もう1つは「大人(学校や園など)が不適切な使用をする」ケースです。

 1つ目の「子供が悪用する」ケースは、先述したSNSのいじめなどの際に不適切な画像や動画をアップされてしまうというようなケースです。悪意を持っていたり、軽い悪戯のような気持ちで行ってしまうものです。GIGA端末は、学校が管理できるものですが、画像の1つ1つまでのチェックが日常的にできる訳ではありません。

情報リテラシー教育が重要

 そういった状況を踏まえると情報リテラシー教育が重要となります。これはGIGA端末に関してもそうですし、家庭で使用しているスマホ、タブレット、PCなどについても同様です。今の日本の教育現場では、先ほども書いたようにコロナにより一気にGIGA端末の配備がなされました。それらを活用することに一生懸命で、適切な使い方の部分にまで十分にエネルギーが使えていない状況だと言えます。コロナにより見切り発車的な状況です。学校のGIGA端末を含め、子供の身の回りにあるデジタル機器の適切な活用は、今の時代の必須な学びです。そういった部分はこれまで以上にエネルギーをかけていくことが大切でしょう。

 もう1つは、大人(教師や保育者)が関わるケースです。悪意はなくとも無断で顔写真などを何かにアップしてしまうというものです。学校や園のWebサイトで使われる場合でも、そういったことを望まない保護者が一定数います。「悪用」ではないのかもしれないですが、不快に感じている保護者がいます。年度始めや入学(入園)のタイミングで、Webサイトなどへの掲載の可否について確認することが一般的です。学校や園のWebサイトなどに画像を使う際は、そういったことへの配慮を忘れないようにしたいです。子供だけでなく、教育関係者も情報モラルの向上を常に意識していきたいです。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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