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小中高生の8割「ICT授業は楽しい」利用頻度と相関

 学校におけるICT機器を利用した授業について、小中高生の約8割が「楽しい」と回答していることが、ベネッセ教育総合研究所が2023年11月8日に公表した調査結果から明らかとなった。その割合は、成績による有意差はないが、利用頻度が多いほど「楽しい」と感じる傾向にあった。

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ICT機器の利用に対する意識(全体/学校段階別/成績別)(%)
  • ICT機器の利用に対する意識(全体/学校段階別/成績別)(%)
  • 学校でICT機器を使う頻度(全体/学校段階別)
  • ICT機器の利用に対する意識(利用頻度別)(%)
  • ICT機器の利用方法(全体/学校段階別)(%)
  • ICT機器の利用の効果実感(全体/利用頻度別)(%)
  • ICT機器の利用の課題認識(全体/利用頻度別)(%)
  • 教員による指導の影響(全体/教員指導別)
  • 授業で「パソコンやタブレットを使う」(経年変化・全体/学校段階別)(%)

 学校におけるICT機器を利用した授業について、小中高生の約8割が「楽しい」と回答していることが、ベネッセ教育総合研究所が2023年11月8日に公表した調査結果から明らかとなった。その割合は、成績による有意差はないが、利用頻度が多いほど「楽しい」と感じる傾向にあった。

 「子どものICT利用に関する調査2023」は2023年2~3月、東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所の共同研究「子どもの生活と学び」研究プロジェクト(親子パネル調査)の特別調査として実施。対象は、プロジェクトモニターの小学4年生から高校3年生9,182人。

 学校におけるICT機器の利用頻度は、小中高ともに約3割が「週5日(ほぼ毎日)」と回答。また、約8割が「ICT機器を使う授業は楽しい」、約6割が「ICT機器を使う授業を増やしてほしい」と回答するなど肯定的な意見が目立った。その割合は、成績による有意差はなかったものの、利用頻度が多いほど「楽しい」と感じる傾向にあることが明らかとなった。

 利用方法は「調べ学習」87.1%がもっとも多く、「考えをまとめて発表」「友達と考えを共有」などの協働学習も6割を超えた。一方で、「練習問題を解く」は小学生に多く、「暗記する」は高校生に多いなど、学校段階による使い方の違いもみられた。

 ICTの利用による効果は、「学習内容について調べやすい」「学習内容がわかりやすい」「効率的に学習できる」「グループでの学習がしやすい」の4項目で7割超えが効果を実感。特に利用頻度が高いほどICT利用の効果を感じており、使い慣れることが効果実感を高めるうえで重要になることがわかった。

 課題は、「目が疲れる」「インターネット接続」「ICT機器を壊す不安」などが半数を超えた。また、3~4割が「深く考えて問題を解くことが減る」「学習以外のことが気になって集中できない」と回答しており、効果的に使えているかどうかも留意が必要になる。一方で、「使い方がわからない」「文字の入力が面倒」など、一部の項目では、利用頻度が低い子供ほど課題を感じており、使い慣れることで解消される困りごとや不安もあることがわかった。

 また、教員から「ICT機器の使い方」「情報の集め方・調べ方」「ルールやマナー」といった指導を受けている子供は、ICT利用に効果実感を強く感じる傾向にあった。この結果から、単にICT機器があればよいわけではなく、教員や保護者などが使い方をサポートすることでより大きな効果が得られる可能性が示唆された。ただし、困りごとや不安などの課題実感は低減するわけではなく、利用環境の充実など教員のかかわり以外の対策も必要といえるという。

 授業中に「パソコンやタブレットを使う」比率は、2020年の56.9%から、21年は81.4%、22年は86.4%と急増している。同プロジェクトでは、今後も子供のICT機器の利用状況を継続して把握し、より良い使い方やより効果的な指導・教材のあり方を提案していくとしている。

《川端珠紀》

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