学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第150回のテーマは「GIGA端末や教科書を置くと机が狭い」。
GIGAスクール構想、細部に問題
GIGAスクール構想により日本の学校での学びが大きく変わりました。概ね良い方向に向かっていると私は感じています。GIGA端末を適切に使用することで、個に応じた学びがしやすくなりました。学びの幅が大きく広がったと感じます。GIGA端末が使われるようになって数年が経ちました。導入時の不安定な時期も過ぎ、今後さらに活用が進んでいくのだと思います。
ただ細部を見るといくつもの問題があることも事実です。以前テーマにした「GIGA端末が壊れたので直してほしい」ということもその1つです。日本の学校で使われている机はタブレット/PCを使用することを想定して作られたものではありません。大きさも形状もタブレット/PCの使用に適したものではないです。そういったことが原因となり、落下による破損が多数発生しているのが現状です。多額の修理費が発生している自治体もあります。
学校の机については不自由に感じている子供も多くいると思われます。一般の事務机(学校の教員用の机)は学校で子供が使う机より相当大きいです。私が小学校の教室で使っていた机は、ノートパソコンを使いながら、教科書やノートを広げて置くことができるくらいの大きさでした。子供が自宅で使っている学習机も多くの場合、学校で使っている机よりは大きいでしょう。さらに最近の家庭用学習机にはタブレット/PCなどに対応したモデルもあり、より使いやすいものが増えています。
机が狭い問題の解決策
そういった状況において学校が取ることのできる方法としては、天板を拡張する後付けの器具を取り付けることでしょう。10センチ程度拡張し、端が少し高くなっているものが市販されています。大きさも重要ですが、端に段差があることで、よりタブレット/PCが落ちにくくなっています。いくつかの会社から販売されています。
天板を拡張する道具を装着することで状況は大きく改善しますが、問題点もあります。「費用」「スペース」です。「費用」に関しては、現状、1個あたり4,000円から6,000円程度してしまいます。全校児童・生徒に揃えるとなるとそれなりの金額となります。転落による破損が多く起こっている学年から導入していくというやり方もあります。今後、シンプルな形で安価な商品が出てくることを期待したいです。
もう1つの問題が「スペース」です。1クラスの人数にもよるのですが、1人分の机が10センチ分広がることによって、その分、人が動くことのできるスペースが減ることになります。1クラスの人数が30人・35人と多いクラスの場合、教室を狭く感じるようになってしまいます。そういったことが原因で起こるトラブルもあるでしょう。
GIGA端末に関しては以前に話題にしたように破損などによる修理費の捻出などが大きな問題となっています。今回紹介したような器具を設置することで破損を減らすことができ、修理費用を少額で抑えることにつながります。GIGAスクール構想に関して、私は「持続可能性」がとても気になります。通常の学校教育活動の一環として、ずっと取り組めるのかということです。一時期の流行などによる取組みでなく、長期的な取組みにできるのかということです。そういったことを踏まえると、今回話題にした転落防止の器具の導入なども前向きに考えていくことが良いのだと思います。
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