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文科省タスクフォース「主体的で多様な学び実現」論点整理

 文部科学省は、子供たちが主体的に学べる多様な学びの実現に向け、約1か月間に計5回の会議を重ね2023年9月5日、論点整理を公表した。小中学校や「学びの多様化学校」(いわゆる不登校特例校)の取組みの現状や成果、課題などを取りまとめている。

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子供たちが主体的に学べる多様な学びの実現に向けた検討タスクフォース
  • 子供たちが主体的に学べる多様な学びの実現に向けた検討タスクフォース
  • 子供たちが主体的に学べる多様な学びの実現に向けた検討タスクフォースの検討経過
  • 八王子市教育委員会の不登校総合対策「つながるプラン」

 文部科学省は、子供たちが主体的に学べる多様な学びの実現に向け、約1か月間に計5回の会議を重ね2023年9月5日、論点整理を公表した。小中学校や「学びの多様化学校」(いわゆる不登校特例校)の取組みの現状や成果、課題などを取りまとめている。

 文部科学省は8月8日、特別な支援を要する児童生徒や不登校児童生徒、外国人児童生徒の増加など、子供たちの実態が多様化する中、個々に応じた教育を実現するため「子供たちが主体的に学べる多様な学びの実現に向けた検討タスクフォース」を設置。これまで計5回にわたり集中的に議論を重ね、今回、論点整理を取りまとめた。

 現状、各学校の取組みは、その開始の経緯や目的などが異なることから、「年間授業時数の取扱いの考え方」「ターゲットとなる児童生徒の考え方」「時程上の工夫により生み出された時間の活用方法の考え方」「集団的・個別といった学習集団のサイズを午前午後でどのように変えるかの考え方」といった視点で実践の多様性がみられた。

 取組みの成果と課題については、教育委員会・学校へのヒアリングをもとに取りまとめている。たとえば小・中学校では、「児童の集中力の高い午前中のコマ数を増やすことで、児童の学習意欲が向上」などの成果がみられた一方、「教員の意識改革が取組みを進めるうえで不可欠である」といった課題があった。

 「学びの多様化学校」では、「午前中を3コマにして登校時間を遅らせることで、登校前に子供の状況を教職員間で情報共有する時間が確保でき、より良い支援につながっている 」といった成果があった一方、「自分で選択できる講座学習の時間であっても、そういった時間が得意な子供と苦手な子供がいることから、必ずしも出席率が上がるとは限らない」といった課題が浮かび上がった。

 別紙では、横浜市立奈良小学校、目黒区立中目黒小学校、八王子市立高尾山学園(小・中学部)と各教育委員会の取組事例を掲載。このうち、学びの多様化学校「八王子市立高尾山学園」は、登校への支援策や学習など各種取組みを、同市教育委員会は不登校総合対策「つながるプラン」について掲載している。

 今後、全国を対象とした実践研究を推進し、「学びの多様化学校」での優良事例を普及していくうえでは、小・中学校では、効果的な教育課程編成など取組みを把握・分析し、多様なモデル事例を収集・創出するなど、施策を講じていくことが求められる。

 特に「学びの多様化学校」は、他自治体でも取り組みやすい環境を整えるとともに、設置に向けた取組みを加速するため「教育課程編成等の事例集の作成・普及」 「『学びの多様化学校』の設置促進」の2点を進めるとしている。

《川端珠紀》

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