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【高校受験】広島県公立高、2023年度入試の成果と課題を公表

 広島県教育委員会は2023年8月10日、2023年度の公立高校入試について、中学・高校の校長や高校1年生に意見聴取した結果からみえた成果や課題について公表した。同県では、2023年度入試から受検者全員に「自己表現」を実施するなど新しい入学選抜制度を導入している。

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「自己表現」について、検査当日に、自分なりに表現することができたか
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 広島県教育委員会は2023年8月10日、2023年度の公立高校入試について、中学・高校の校長や高校1年生に意見聴取した結果からみえた成果や課題について公表した。同県では、2023年度入試から受検者全員に「自己表現」を実施するなど新しい入学選抜制度を導入している。

 新しい入学選抜制度は、主体的な志望校選択の実現として各高等学校の学科・コースの特色に応じて「特色枠による選抜」を実施。また、調査書に記載する内容は「学習の記録(評定)」のみに変更し、調査書を簡素化した。入学者選抜では、短縮選抜(I)と選抜(II)を統合し、「一次選抜」として実施。さらに、受検者全員に自分自身のことを表現する「自己表現」を実施した。

 同教育委員会は5~6月に、全公立高等学校長、全公立中学校長、全市町教育委員会、および公立高等学校第1学年生徒8,216人を対象にアンケートを実施し、成果と課題について整理した。

 主体的な志望校選択の実現のための「特色枠による選抜」の実施については、教育目標や入学者選抜の実施内容を記載した入学者選抜実施内容シートの公表などにより、中学生の一層の主体的な学校選択の実現の一助とすることができた。一方で、「一般枠による選抜」と「特色枠による選抜」の違いや配点の比重についてわかりにくいとする意見もあることから、引き続き丁寧に周知していく必要があるとしている。

 調査書の簡素化については、記載する内容は学習の記録(評定)のみとし、欠席日数の記載や教員の所見欄を削除したことにより、これまでの選抜(I)などで、入学者選抜の判断への影響が不透明であるとの指摘もあった調査書の取り扱いについて、透明性・客観性を高めることができた。一方で、学習の記録(評定)の学年間の重み付けについての意見や、高等学校入学にあたって速やかに中高連携を行うための工夫が必要であるという意見もあることから、引き続き、趣旨の周知や工夫・改善をしていく必要がある。

 受検者全員に実施した面接形式の「自己表現」については、「広島県の15歳の生徒に身に付けておいてもらいたい力」として、どのくらい身に付いているのかをみるために新しく導入。高校1年生に、検査当日は自分なりに「自己表現」ができたかを聞くと、「それなりにできた」55.6%と「十分にできた」38.7%をあわせて94.3%と、「できなかった」5.7%を大きく上回った。おもな意見では、「今までの自分を改めて振り返って整理することで、自分について再認識できたと感じた」と肯定的なものから、「5教科の勉強もあるのに、自己表現の準備もあり、大変で、負担が大きかった」という声もあがった。

 高等学校の意見では、「従来の面接では画一的な応答が多かったが、今回の自己表現では、受検者ごとの人となりや個性を知ることができ、全体として多彩で良かった」という好意的な意見がある一方、「自己表現で求めていることは身に付けてほしい大切な力だが、入学者選抜で評価することは難しいのではないか。実施の必要性について検討すべきである」といった意見もあった。

 同教育委員会によると、2024年度(令和6年度)入学者選抜からは、1日で5教科の学科試験をしたうえで、自己表現のPR内容を「自己表現カード」に記入する負担を軽減するため、記入時間を30分から15分に短縮して実施する。さらに、受検者の自己表現をより一層引き出し、自己表現の充実を図る観点から、自己表現の検査における質問のあり方についても改善する。新しい広島県公立高等学校入学者選抜制度に係る成果と課題については、Webサイトで公開している。

《田中志実》

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