2023年5月10日、教育分野としては日本最大の展示会「EDIX(エディックス)東京」が東京ビッグサイト 西展示棟で開幕した。
「EDIX東京」は、小・中・高校、大学、教育委員会、塾・予備校、専門学校などの職員・教員等を対象とした展示会。学校向けのICT機器や授業・校務支援システム、STEAM教育用の教材等、多岐にわたる製品・サービスが展示されるほか、各種セミナーも実施される。
この記事では、会場に展示された注目の製品・サービスを紹介する。
採点業務の負担を軽減する
スキャネット「デジらく採点2」

スキャネットが提供する「デジらく採点2 普通紙対応版」は、実施したテストの採点をPC上で行うことを可能にするデジタル採点システムだ。普通紙で作成したテストの解答用紙を複合機等でスキャンすることで、PC用ソフトウェア上で採点、点数の集計ができる。解答用紙は、スキャネットが提供する複数のテンプレートから作成できるほか、教員が作成した任意の解答形式を読み取る「フレームレス」機能も搭載。さまざまな形式のテストでデジタル採点を実施できるだろう。
画面上では、児童生徒ごとにすべての解答を採点する以外にも、1つの設問を全生徒分まとめて採点することが可能。正答率の高い問題では、誤答のみを選択・操作したあと、残りの解答をまとめて「正答」とする機能もあるほか、カナ・英字・数字の文字認識機能があり、1文字の解答であれば自動採点ができる。採点結果を反映した解答用紙は、PDFファイルとしてGoogle ClassroomやMicrosoft Teamsで一斉に児童生徒に返却できる。

2023年4月1日からは、専用ソフトをインストールすることなくWebブラウザ上で採点・データ管理ができる「デジらく採点2 クラウド」も提供開始。採点から返却まで、教員の業務負担に非常に役立つことだろう。
iPadの導入から活用まで
Tooの教育ICT環境構築サポート

学校のICT環境整備をサポートするTooは、Appleの正規サービスプロバイダとして、MacやiPadの導入から管理、端末保証、活用までをトータルで提供している。
端末導入時には、機種選定からキッティング、配布をサポートし、学校が選定した機種を各家庭が購入するBYADにも対応する。端末を管理するMDM導入や、落下や衝突、水濡れなど通常サービスの対象外となる物損にも対応する保証サービスも提供している。
さらに、ICT環境整備に留まらず、Adobe製品等のクリエイティブツールの活用までもサポート。ブース担当者が「何でも屋」と表現するTooは、学校のICT活用の強い味方となってくれるだろう。

プラレールを活用してプログラミングの基礎を身に付ける
ジャムハウス「プラレールプログラミング」

児童書、教育書、IT書を取り扱う出版社ジャムハウスは、タカラトミーの玩具「プラレール」を活用したプログラミング教材「プラレールプログラミング」を幼稚園や保育園向けに提供開始した。線路を繋げ、鉄道車両を走らせるプラレールをプログラミングの処理に見立て、論理的思考の基礎を身に付ける教材として活用する。
教材では、「レールを考えたとおりに繋げる」(問題解決)、「踏切とトンネルを繰り返し通るようにする」(繰り返し処理)、「2階建てのレールに2つの車両を走らせる」(並列処理)といった課題を通して、プログラミングに必須の論理的思考力だけでなく、自己肯定感や探究心などを身に付けることができるという。カリキュラムの後半では、「1つすすむ」「しんごうき」等のカードを用いてフローチャートを作成する課題も用意。プラレールでの遊びとプログラミング教育をスムーズに接続するくふうが施されている。
先生視点では、全授業分の「講師マニュアル」を完備し、プログラミングスキルを問わず指導できることも安心だ。

児童生徒の活発なコミュニケーションと学びを
エルモの小型電子黒板(参考展示)
EDIXでは、すでに提供されている製品・サービスだけでなく、今後発売予定のもの、さらには開発中の製品の参考展示も多い。

テクノホライゾングループのエルモカンパニーは、電子黒板やプロジェクターの新しい活用を目指す。ブースで展示されていたのが、タッチパネルを搭載した32インチの小型電子黒板。開発中のものだが、キャスターによる自由な移動、90度回転するディスプレイ、ワイヤレスミラーリング機能を搭載している。担当者によれば、学校内のアクティブラーニング教室へ設置し、児童・生徒同士の共同学習やグループディスカッションに役立てることを想定した製品だという。
そのほか、3方向に映像を投影する没入型映像システム、ICT端末のカメラから児童生徒の表情を読み取り、感情を分析するソリューションなどが展示され、より良い製品の開発を目指して来場者とのコミュニケーションを行うようすが見られた。
GIGAスクール構想の進展により、教育現場におけるICTのあり方は、より良い活用のフェーズへと移行している。その最先端を走る企業、そして熱意のある教育関係者が集まったEDIX東京の会場は熱気に満ちていた。EDIX東京は、2023年5月12日まで開催される。