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【全国学力テスト2022】ICT活用頻度や調査結果と正答率の関係など…質問紙調査結果(まとめ)

 文部科学省は、2022年度(令和4年度)全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果(速報)を公表した。この記事では、学習環境等に関する質問紙調査の結果の中から、注目すべき内容をまとめて紹介する。

教育行政 文部科学省
【全国学力テスト2022】ICT活用増加、主体的・対話的で深い学び取組み状況…質問紙調査結果(まとめ)
  • 【全国学力テスト2022】ICT活用増加、主体的・対話的で深い学び取組み状況…質問紙調査結果(まとめ)
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 文部科学省は2022年7月28日、2022年度(令和4年度)全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果(速報)を公表した。この記事では、児童・生徒と学校それぞれに対して実施された、学習環境等に関する質問紙調査の結果の中から、注目すべき内容をまとめて紹介する。
【全国学力テスト2022】小学校、国数理の課題と指導改善ポイント(まとめ)
【全国学力テスト2022】中学校、国数理の課題と指導改善ポイント(まとめ)

ICT活用



 GIGAスクール構想による1人1台端末の整備が進み、2020年度内に全自治体の96.5%で端末の納品が完了、2021年度から本格的な活用が始まった。学校の授業におけるICT活用の実態について、質問紙調査結果から以下のことが明らかになった。

ICTの活用頻度



 教員の大型提示装置等(プロジェクター、電子黒板等)のICT機器を活用した授業の頻度は年々増加しており、「ほぼ毎日」と回答した割合は、小学校で67.2%(前年度53.9%)、中学校で68.5%(前年度58.6%)だった。

 児童・生徒が授業でPC・タブレット等のICT機器を使用する頻度も増加しており、「ほぼ毎日使用する」と回答した児童・生徒の割合は、小学校で26.9%(前年度11.4%)、中学校で22.4%(前年度7.9%)だった。また、「学習の中でPC・タブレット等のICT機器を使うのは勉強の役に立つと思うか」という質問では、「役に立つと思う」「どちらかといえば、役に立つと思う」と回答した児童・生徒が小中学校ともに90%を越えた。これは、前年度とほぼ同じ結果だ。

 「1人1台端末をどの程度、家庭で利用できるようにしているか」という質問では、家庭で端末を利用させていると回答した小中学校が昨年度と比べ大幅に増加。「臨時休業等の非常時のみ、持ち帰ることとしている」との回答をあわせると、小中学校ともに80%以上となった。


ICTを活用する場面



 学校の授業の場面ごとのICT活用頻度について問う質問では、週1回以上使用させている小中学校が、「自分で調べる場面」で約90%、「教職員と児童生徒がやりとりする場面」と「自分の考えをまとめ、発表・表現する場面」で約70%だった。また、「児童・生徒同士がやりとりする場面」については、小学校で約59.2%、中学校で55.3%だった。

 そのほか、用途ごとのICT活用頻度に関する質問では、以下のような結果となった。


ICT活用を推進する取組み



 教員がコンピュータ等のICT機器の使い方を学ぶために必要な研修機会について、「ある」「どちらかといえばある」と回答した割合は、小学校で94.6%(前年度84.8%)、中学校で90.1%(前年度78.3%)と増加した。また、研修の有無と、「教職員と児童生徒がやりとりする場面」や「自分の考えをまとめ、発表・表現する場面」でのICT機器の使用頻度に正の相関関係がみられた。


 コンピュータなどのICT機器の活用に関して、学校に十分な知識をもった専門スタッフ(教員は除く)がいる等、技術的にサポートできる体制が「ある」「どちらかといえば、ある」と回答した学校は、小中学校ともに約70%で、前年度から約15ポイント増加した。

主体的・対話的で深い学び



 新学習指導要領が掲げる「主体的・対話的で深い学び」という考え方は、文部科学省が目指す教育改革において重視されているキーワードである。今回の学力テストにおいても、他者へ自分の考えを正しく伝える力や、課題を発見して解決する力を問う問題が出題されたが、小学校理科では「気付いたことを基に分析して解釈し、適切な問題を見いだすこと」、中学校国語では「意図を明確にして、話し方(言葉の抑揚や強弱等)の工夫を自分で具体的に考えること」に課題があると指摘されている。

 普段の授業における「主体的・対話的で深い学び」のようすについては、以下のような調査結果が得られた。

 「授業では、課題の解決に向けて、自分で考え、自分から取り組むことができているか」という質問に対し、「そう思う」「どちらかといえば、そう思う」と回答した小中学校および児童・生徒の割合は前年度からほぼ横ばいだった。


 「話し合う活動を通じて、自分の考えを深めたり、広げたりすることができているか」との質問に「そう思う」「どちらかといえば、そう思う」と回答した小中学校および児童・生徒の割合はいずれも約80%で、特に小学校において前年度より増加している。また、この設問に肯定的に回答した学校ほど、各教科の平均正答率が高い傾向がみられた。


 「自分の考えがうまく伝わるよう、資料や文章、話の組立てなどを工夫して発表を行うことができているか」との質問に肯定的に回答した割合は、小中学校ともに75%を超え、前年度と比べて特に小学校で増加した。また、この質問に肯定的に回答した児童生徒ほど、教科の平均正答率が高い傾向がみられた。


新型コロナウイルスの影響



 新型コロナウイルスの影響による臨時休業等の日数について、2020度では小中学校ともに年間「50日以上、60日未満」がもっとも多かったのに対し、2021度では小中学校ともに「10日未満」が約95%だった。短縮授業・分散登校の日数についても、2020年度は小中学校ともに「10日未満」が約60%であったのに対し、2021度では小中学校ともに「10日未満」が80%を超えている。

 また、新型コロナウイルスの影響による臨時休業等の日数と、学力テストの各教科の平均正答率との間に、相関はみられなかった。

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《多賀秀明》

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