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金融教育に高いニーズとプラス効果…金融リテラシー調査

 金融広報中央委員会は2022年7月5日、「金融リテラシー調査(2022年)」の結果を公表した。金融教育のプラス効果や、金融教育に対する高いニーズがあることが明らかになった。

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 金融広報中央委員会は2022年7月5日、「金融リテラシー調査(2022年)」の結果を公表した。金融教育のプラス効果や、金融教育に対する高いニーズがあることが明らかになった。

 「金融リテラシー調査」は、日本における18歳以上の個人の金融リテラシー(お金の知識・判断力)の現状把握を目的とする大規模調査。2016年より3年おきに実施している。今回の調査は2022年2月25日~3月14日、全国の18~79歳の個人3万人を対象にインターネットモニター調査にて実施した。

 設問は、「金融リテラシーマップ」の8分野に基づき、「金融知識・判断力」に関する正誤問題と「行動特性・考え方等」といった金融リテラシーにかかる53問で構成。そのうち4割程度は、海外機関による同種調査と比較可能な内容となっている。

 調査結果をみていくと、金融リテラシーの正誤問題の正答率は、全体で55.7%であり、2016・2019年に実施した過去2回の調査時と同程度であった。また、正答率についても前回の調査時と同様に、年齢層が高いほど、また金融・経済情報をみる頻度が高いほど高くなる傾向にあった。

 「金融教育を受けた」と認識している人は全体の7.1%であり低水準にとどまっているが、「生活設計や家計管理等の『金融教育』を学校で行うべきだと思う」と回答した人は71.8%であり、金融教育に対するニーズの高さがうかがえた。

 金融教育の効果を職業・年齢階層別にみると、金融教育を受けた人のほうが正答率が高く、資産運用や借入れ、生保加入時に他の金融機関や商品と比較する等、望ましい金融行動をとる人の割合も、金融教育を受けた人のほうが高いことがわかった。

 投資行動については、株式、投資信託または外貨預金・外貨MMFの購入経験について、「購入したことがある」との回答は2~3割程度であった。水準は低いながらも、調査回ごとに微増している。しかし、金融商品購入時に、「商品性については、あまり理解していなかった」「商品性については、理解していなかった」と回答した人が3割弱みられ、その割合も増加していることがわかった。

 さらに、米国での調査と比較すると、比較可能な正誤問題の正答率は、日本が47%に対して米国は50%で大きな違いはみられなかった一方、「金融教育を受けたことがある」と認識している人の割合は、日本が7%に対して米国は20%であり、日本が大きく下回った。また、「金融知識に自信がある人」の割合は、米国では回答者の71%を占めたのに対し、日本は12%であり、大きな違いがみられた。

 今回の調査により、金融教育にはプラスの効果があること、また、金融教育に対するニーズが高いことが確認された。金融広報中央委員会では、若年層のうちから継続的な教育で金融リテラシーを高める取組みを続けるとともに、知識に対する過信はトラブルにつながりかねない点についても啓発していくとした。

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《木村 薫》

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