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【EDIX2022】包括的ソリューションで子供たちの未来を支える…Google スチュアート・ミラー氏

 第13回学校・教育総合展(EDIX)東京1日目、セミナー「『Future of School』ひとり1台のその先へ ―世界中を教室に―」が開催された。

教材・サービス 授業
Google for Education マーケティング統括部長 アジア太平洋地域 ミラー・スチュアート氏
  • Google for Education マーケティング統括部長 アジア太平洋地域 ミラー・スチュアート氏
  • セミナー「『Future of School』ひとり1台のその先へ ―世界中を教室に―」
 GIGAスクール構想が本格的に始動してから1年あまりが経過し、日本全国の学校では1人1台端末を活用した次世代の学びの在り方が模索されている。

 2022年5月11日、第13回学校・教育総合展(EDIX)東京1日目に開催されたセミナー「『Future of School』ひとり1台のその先へ ―世界中を教室に―」に、Google for Education アジア太平洋地域 マーケティング統括部長を務めるスチュアート・ミラー氏が登壇。静岡県の小学校教員としての勤務経験もあるミラー氏が、Googleの取組みによってどのように学校における学びが変化したのか、またGoogleが目指す未来像について講演を行った。

セミナー「『Future of School』ひとり1台のその先へ ―世界中を教室に―」
セミナー「『Future of School』ひとり1台のその先へ ―世界中を教室に―」

Google for Educationが実現する「学校の新しい日常」



 はじめにミラー氏は、ChromebookやGoogleの教育向けサービスを活用している3つの自治体の事例を映像で紹介し、Googleの教育ソリューション「Google for Education」がどのような学びを実現してきたかを説明した。

神奈川県川崎市の事例



 神奈川県川崎市では、GIGAスクール構想の実現に向け、Googleが提供するソリューションを活用している。人口およそ150万人という大規模な自治体である川崎市は、1人1台端末としてChromebookを導入するにあたって、まずはGoogleが主催する教員向け研修を実施。その後、児童・生徒へChromebookを配布した。

 Google Classroomを活用した学習の映像では、生徒たちがChromebookの画面を見せあいながら意見を交換するようすも。インタビューに答えた先生は、「大人の仕事と同じように生徒らが課題解決をはかるような授業に変わっていくことを期待している」と述べた。

 川崎市は、「自主・自立」「共生・協働」をキーワードとした教育目標を掲げている。Google for Educationを活用した学びは、まさに川崎市の目指す教育の在り方にマッチしている。ミラー氏は「子供たちが楽しみながら学びを深め、近い将来、世界を変えるために必要なスキル、経験を得ている」と述べた。

宮城県仙台第三高等学校の事例



 次に、宮城県仙台第三高等学校の日本史の授業のようすが紹介された。従来は先生が板書し、生徒がそれを聞くという一方的な授業だったが、現在ではChromebookを活用し、生徒同士が意見を交換・発表するアウトプットの機会を設けているという。授業のようすを見学した宮城教育大学の安藤明伸教授は、「生徒が授業の内容を自分で理解し、友達同士でアウトプットすることで思考を整理する、という過程を楽しみながら行っている」「納得をもって知識が定着していくだろう」と太鼓判を押した。

岡山県立林野高等学校の事例



 最後に、2017年度から先行してChromebookによる1人1台環境を実現した岡山県立林野高等学校で男女2人の生徒の日常に密着した映像が流された。女子生徒は、授業や放課後の課題の他、他学年の生徒や地域住民へのプレゼンにもChromebookを活用して取り組んでおり、「教科書の学びだけではなく、自分たちで考えて答えを出していくのが楽しかった」と述べた。

 また男子生徒は、野球の素振りのようすを動画として記録し、自ら見直したり他の生徒に共有して意見を交換したりと授業内外で活用方法はさまざまだ。映像の最後に2人は、それぞれ「英語の先生になりたい」「地域に貢献できる公務員になりたい」と将来の夢を語った。

 ミラー氏は林野高校の事例における2つの重要なポイントを示した。1つ目は、「ICT端末が主役ではない」ということである。文房具のように必要なときだけICT端末を使用する姿は、まさに文部科学省がGIGAスクール構想で目指す学びの姿を体現していた。

 2つ目は、「生徒が幸せそうに学校生活を送っている」ということだ。生徒がそれぞれ人生の目標をもち、その実現に向けた学校生活の一部としてChromebookが役立てられている。

日本の教育改革に世界が注目



 現在、世界で1億5,000万人のユーザーがGoogle Classroomを利用している。また、2021年にはChromebookが世界の教育市場でもっとも多く採用された端末となり、日本の教育市場でも40%のシェアを誇っている。

 ミラー氏によれば、全国の児童・生徒にICT端末とアカウントが一斉配布されるという大規模な取組みは世界的に見ても稀有な例であり、諸外国からも注目が集まっているという。

 ミラー氏が担当するアジア太平洋地域においては、シンガポールやマレーシア、台湾等が1人1台端末の整備計画を進めており、韓国は1人1台端末を含む大規模な教育改革計画「Green Smart School」を発表した。日本のGIGAスクール構想推進は、これらの国々に大きな影響を与えている。

Google for Educationが目指す未来



 世界からも注目を集めているGIGAスクール構想で、Google for Educationは次にどのようなステップを踏み出そうとしているのだろうか。ミラー氏は、「GIGAスクール構想は、端末やアカウントを配布することだけが目的ではないはずだ」としたうえで、東北大学大学院 情報科学研究科 教授の堀田龍也氏へのインタビュー映像を紹介した。

 堀田氏は「ICT端末の基本的な操作ができるという段階から、子供たちがICTスキルを使って『次はこれをやろう』と自分で決める段階に入っていく」と、目指すべき主体的な学びの姿を説明。ミラー氏は、課題解決のために子供たちが自分にあった方法を判断し、先生が子供たちに質問しながら導いていくことが重要だと述べた。

熊本県高森町の事例



 この「先生が子供たちをサポートする」という在り方は、Google for Educationの活用によって実現し始めている。次に紹介された映像では、熊本県高森町のある小学生が、家庭学習においてもGoogleスライドで他の児童と共同作業に取り組むようすが映し出された。ICT端末のおかげで、子供たちが時間と場所の制約から解放されていることに加え、大人と同じツール、同じやり方で課題解決に臨んでいるようすが見て取れる。

愛知県春日井市立高森台中学校の事例



 愛知県春日井市立高森台中学校では、Google Classroomを通じて生徒たちに複数の課題を提示し、どの課題に取り組むかを選ばせている。担当する先生は、子供たちが学びたいものを選んで主体的に学ぶ姿勢を見て、手ごたえを感じているようだった。子供たちに選択肢を与えることで、個別最適化された学びを実現することができると期待できる事例といえる。

高知県の事例



 ICT活用のもうひとつのメリットは、記録を蓄積していくことだ。高知県では、小・中・高校で1人1台のChromebookを配備し、Google Workspace for Educationの上位エディションである「Education Plus」を導入している。このエディションでは、クラウドを活用して子供たちの学習の記録を蓄積するだけでなく、高度に分析することが可能だ。小学校から中学校、高校へと進学していく過程で、子供たちひとりひとりのこれまでの学びを先生が把握することができ、「途切れのない学び」の実現に向けて取組みを進めているという。

 ミラー氏は高知県の事例について、子供たちの学びを可視化して分析し、個別最適化する体制を整えることで、子供たちが興味・関心のあるものについて学びを深めることを可能にしていると述べた。

すべての人により多くの学びの機会を



 Google for Educationは、より主体的、対話的で深い学びを実現するためのツールとしてChromebookやGoogle Classroom、個別最適化された学びを実現するためにGoogle Workspace for Education PlusやGoogle Cloud、そしてそれらのツールを教育現場で活用することをサポートするため、さまざまな資料や研修、認定プログラム等を提供している。Google for Educationが公開したページ「Google for Education GIGA School」では、現場の先生の指導案やツールの活用アイデアを参照することが可能だ。

 最後にミラー氏は、「日本の『Future of School』は非常に明るい。日本は世界に素晴らしい模範を示している。これからも子供ひとりひとりが、自分の進むべき道を見出し、歩めるようにサポートしていきたい」「力をあわせて、『Future of School』だけではなく、『Future of Children』、子供たちに未来を作る機会をあげましょう」と述べ、講演を締めくくった。

 ミラー氏の最後の言葉に象徴されるように、常に「子供たちの未来」を第一に考える姿勢が印象的な講演だった。世界を代表するテクノロジー企業として、そして教育市場で大きなシェアをもつ企業としての責任と使命を果たそうとするGoogleは、始まったばかりである日本の教育改革の重要な牽引役であることは間違いないだろう。
《多賀秀明》

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