文部科学省は2022年4月1日、学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル「学校の新しい生活様式」を改訂した。最新のデータや知見に基づき、児童生徒等の感染状況や子供の感染の特徴等について内容を更新している。 「学校の新しい生活様式」は、「新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン」の考え方に基づき、学校の衛生管理に関する具体的な事項について、学校の参考となるよう作成したマニュアル。今回、2022年3月時点での最新の知見に基づき、一部の内容を見直した。 改訂版のマニュアル(Ver.8)では、児童生徒等の感染状況について文部科学省等が公表している最新データや分析結果に基づき更新。2020年6月1日から2022年2月28日までの間の感染報告は、児童生徒等42万9,898人、教職員3万2,570人。2022年1月ころからの感染拡大期においては、児童生徒等の感染者数も大きく増加した。 感染経路は、オミクロン株の影響を受けた2022年1月以降「感染経路不明」の割合が高まり、すべての学校種で「感染経路不明」がもっとも高い割合となった。「学校内感染」の経路の内訳は、幼稚園や小学校では「同一クラス」の事例が大半を占め、中学校や高校では「同一部活動」の割合が高くなっている。 子供への感染に関する特徴についてもオミクロン株に係る知見を踏まえて更新。「小児例は無症状者/軽症者が多いが、重篤な基礎疾患を有する場合は重症化に注意」「若者は重症化、死亡の割合が低い傾向」「オミクロン株は再感染リスクの増加、ワクチンの効果を弱める可能性がある一方、入院リスクや重症化リスクは低い可能性がある」と説明している。 地域ごとの行動基準の設定の考え方については、学校に関する感染レベルを判断する際、年代により異なる感染状況等を踏まえ、地域全体の感染レベルとは別に判断することが考えられることを明示。児童生徒等が登校しない場合の記述については、一部の内容を修正・追記。具体的な活動場所ごとの感染症予防対策、保護者等への情報提供等についても追記や修正を行っている。 また、「新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン」についても4月1日に改訂。感染者等が発生した場合や児童生徒等の出席等に関する対応については、濃厚接触者に特定されない場合であっても出席停止の措置をとるべき場合等に関する記載を明記。臨時休業の実施の考え方、やむを得ず学校に登校できない児童生徒等への学習指導等についても改訂している。 文部科学省では、4月1日付で全国の教育委員会等に向けて通知を発出。学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル「学校の新しい生活様式」と「新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン」の改訂についてそれぞれ、おもな改訂点を示し、所管の学校に周知するよう要請している。