経済的理由で修学困難な学生に対する支援策の周知について、文部科学省は2022年3月25日、国公私立大学や高等専門学校、都道府県教育委員会等に通知を出した。経済的に厳しい状況にある学生が進学・修学を断念することがないよう、積極的な情報提供を求めている。 文部科学省は、新型コロナウイルス感染症の影響で経済的に困難な学生等に対する支援策について、これまでも通知等で周知。経済的に厳しい状況にある学生等が進学・修学を断念することがないよう、高等教育の修学支援新制度や日本学生支援機構の貸与型奨学金等の各種支援策を講じている。 今回、新年度に向けてあらためて支援策や留意事項等を網羅的に整理。大学等に対し、支援を必要とする学生ひとりひとりに情報が確実に伝達される手段を確保し、遺漏なく学生等へ周知するよう通知を発出した。 「高等教育の修学支援新制度」「日本学生支援機構の貸与型奨学金」の両制度については、4月より高校3年生等向けの予約採用および大学等の在学生向けの在学採用を開始する。文部科学省は各学校に対し、高校3年生や学生、保護者等に情報が行き届くよう、さまざまな機会を通じて周知するとともに、期限内に各学校に申し込むため十分な申請期間を設けるよう配慮もお願いしている。 入学料等の初年度納付金や授業料等の納付が困難な学生等に対しては、新型コロナウイルス感染症の影響により経済的に厳しい世帯の学生等がいることも踏まえ、各大学等で納付時期の猶予、分納、免除、減額等、弾力的な取扱いや柔軟な配慮をあらためて求めている。 新型コロナウイルス感染症の影響等により、家計が急変した世帯の学生等に対しては、「高等教育の修学支援新制度」「日本学生支援機構の貸与型奨学金」の両制度において、2022年度以降も直近の所得に基づいて採用を判定する等きめ細かな対応を行い、随時申込みを受け付ける。アルバイト収入が大幅に減少し、修学の継続が困難になっている学生等への緊急特別支援として、2020年度より実施している日本学生支援機構の「緊急特別無利子貸与型奨学金」は、2022年度も実施する。 情報発信については、「経済的に困難な学生等が支援策を知ることなく退学・休学等をすることがないよう、プッシュ型で情報発信を行うことが重要」とし、各大学等の独自の支援策とあわせて積極的に情報発信するよう要請。メールや郵送等ひとりひとりに情報が行き渡るような手段の確保、メールの件名や封筒の記載方法の工夫等、学生等のもとに届いたメール等が認識され、内容を確認することを促す取組みについても工夫し、困難や不安を抱える学生等の目線に立った対応をお願いしている。 文部科学省Webサイトでは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた学生等への経済的支援の一覧を広く知らせるための特設サイトを作成。他省庁等の支援策も含め、経済的に困難な学生等が活用可能な支援策を2022年4月時点であらためて一覧にまとめ、通知とともに提供しており、詳細情報に直接アクセスできるQRコードも紹介している。