京都府教育委員会は2022年3月22日、「府立高校の在り方ビジョン」を公表した。新しい時代において府立高校が目指すべき方向性や将来像を示すためのもので、今後10年間でさまざまな取組みを計画的、かつ、確実に進めていくという。 京都府教育委員会は2021年3月に、京都府の教育の目指すべき方向等を示した「第2期京都府教育振興プラン」を策定。その中で、新しい時代の魅力ある府立高校づくりに向けた中長期的な基本的方向性や目指す将来像を示す必要があると考え、「府立高校の在り方ビジョン」として策定することにした。 策定には外部有識者による検討会議を設置した他、全日制・定時制課程に在籍する第1学年および第1年次の生徒(中高一貫クラスは除く)を対象に「府立高校に関するアンケート調査」を実施し、対象生徒9,653名の55.2%にあたる5,329名から回答を得た。ビジョンの計画期間は2022年度から2031年度までの10年間。なお、「京都府教育振興プラン」の中間見直し等を踏まえ、必要に応じて見直しを行う。 アンケート調査の結果では、生徒の在籍する府立高校への満足度は約86%、不満足度は約14%だった。生徒たちが不満に感じている理由としては、「授業」「校風・教育方針、「学校の施設」が上位。高校に対する不満足の度合いや思いはさまざまだが、教育の基本理念をもとに、生徒ひとりひとりに寄り添い、生徒が抱える課題の解消に努める必要がある。 今後の府立高校の在り方においては、生徒たちが、自らが目指す進路を実現できる学力や資格などを身に付けられる学習指導と、部活動や学校行事などの教育活動がバランス良く充実していること。また、高校生活を通じた豊かな人間関係づくりを求めていることを踏まえ、現在の各高校の良いところは継続しつつ、さらに各高校の魅力を高め、府立高校としての役割をしっかりと果たせるよう取組みを進めていく。 府立高校における魅力的な学びの充実として、「スクール・ミッションの再定義」「新しい時代に応じた探究的な学びや学習スタイルの構築」「地域や企業、高等教育機関・研究機関等との連携強化」「スケールメリットや教育活動のバランスの良さを活かした魅力化の向上」等をあげている。 「スケールメリットや教育活動のバランスの良さを活かした魅力化の向上」では、目指す方向性として「ICTの活用等による学校間連携の強化」「課程間の連携による教科・科目等履修制度の構築」「府立高校内留学の仕組みづくり」「生徒一人一人がいきいきと活躍できる教育活動の充実」の4つの項目をまとめている。 「府立高校の在り方ビジョン」は、教育委員会のWebサイトに掲載している。