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近大附属豊岡、ASUS Chromebook Detachable CM3導入でGoogleを「徹底的に使い倒す」

 近畿大学附属豊岡は近年、教育ICTの導入や活用を積極的に進めてきた。2021年度よりASUS Chromebook Detachable CM3を導入し、学校や家庭での利用を始めている。同校進路指導部 ICT教育推進委員長 数学科・情報科教諭の奥田幸祐先生に、ICT導入と活用の実際を聞いた。

ICT機器 授業
ASUS Chromebook Detachable CM3を授業で活用
  • ASUS Chromebook Detachable CM3を授業で活用
  • 近畿大学附属豊岡高等学校・中学校 奥田幸祐先生
  • コンパクトなASUS Chromebook、筆箱、ノートを机上に設置して授業に臨む
  • ASUS Chromebookを縦置きにしてペンを利用する生徒
  • 電子黒板にプリントを投影して授業を展開する奥田先生
  • タッチパネルでピンチアウト
  • インタビューに協力いただいた生徒のみなさん
  • ASUS Chromebookを持って記念撮影
 GIGAスクール構想の前倒しにより現在、小中学校の児童生徒1人1台端末の整備がほぼ完了したが、今後は高等学校における整備が焦点となっている。2021年3月、ASUS(エイスース)は「ASUS Chromebook Detachable CM3」を発売。コンパクトな10.5インチのスクリーンに、着脱可能なフルサイズキーボードとスタンドカバーが特徴で、ノートパソコンの形態だけでなく、キーボードを外せばタブレットでの利用も可能。インカメラとアウトカメラ、スタイラスペンも内蔵し、日常のさまざまな場面で活用できる。

 兵庫県北部の豊岡市にある近畿大学附属豊岡高等学校・中学校(以下、近大附属豊岡)は近年、教育ICTの導入や活用を積極的に進めてきた。2021年度の入学生からはASUS Chromebook Detachable CM3を導入し、全校生徒が個人端末を所持して学校や家庭での利用を進めている。同校ICT教育推進委員長 数学科・情報科教諭の奥田幸祐先生に、ICT導入と活用の実際を聞いた。

使い倒す意識でコストの抑制も実現



--近大附属豊岡がICTの活用に至った背景をお聞かせください。

 本校がICT導入に動き出したのは2016年。まだ、GIGAスクール構想という言葉も聞いたことがないころです。学校のある兵庫県北部は生徒数が減少傾向にあり、私立学校として生徒の進路実現だけでなく、田舎にある本校だからこそできる特色ある教育は何かを考えてきました。以前より英語教育に力を入れていましたので、次は近隣他校に先駆けて生徒個人端末を導入しようとICT教育が動き出しました。

 本校に最適なICTのシステムやサービス環境を考えた結果、本校はGoogleの G Suite(現在のGoogle Workspace)だと判断しました。このG Suiteの導入が、先生方の仕事や授業の仕方を変えていく契機となりました。授業準備やクラス経営、校務運営など、今ある業務をさらに良くしたいと先生たちの研究が始まったのです。さらに、できる限りコストを抑えたICT導入が絶対条件である本校にとって、G Suiteは費用面での保護者の負担を増やさないシステムでした。他校ではG Suiteに加えて他のソフトを導入する場合もありますが、本校ではG Suiteを徹底的に使い倒すことにし、生徒たちがGoogleのサービスをもっとも使いやすい「Chromebook」の選択に至ったわけです。

近畿大学附属豊岡高等学校・中学校 奥田幸祐先生
近畿大学附属豊岡高等学校・中学校 奥田幸祐先生

ICT不要論より不信論、そこから変化した先生方の意識



--多くの学校でICTの導入には否定的な声があるとも聞きますが、御校はいかがでしたか。

 当時を振り返っても、ICT教育が不要だという先生は本校にいませんでした。ただ、ICTを利用することで学力が本当に伸びるのか、生徒の個人情報などのデータをICTで管理して本当に大丈夫なのかなど、今までのチョーク&トークの授業スタイルや紙での管理から見ると“ICTに対する不信感”があったと思います。見えるものはわかるが、見えないものは本当に大丈夫かという心配ですね。

--Googleのサービスを導入したことにより、先生方に変化はありましたか。

 先生から生徒への情報伝達は、Google ClassroomがSHRの補助的な役割を果たしています。資料の配布に関しては、Classroomのみ、紙のみ、両方と、その時々に合わせた形で行っています。Classroomを絶対に使うのではなく、デジタルやICTは「人と人との関係をサポートする」ものという考えです。学校生活をより良くするために、生徒にとって何が最適かを教員が判断して、ICTを上手に利用しています。

--先にコミュニケーションでの利用を進めてきたわけですね。

 そのとおりです。コミュニケーションで利用が進めば、今度はこれを授業で使ってみようとなってくる。生徒にとっても、必要なときにサッと使える端末はChromebookと認識できて、文房具のひとつとなる。これで教員と生徒間がG Suiteでつながりました。さらに、G Suiteの利用により教員間のコミュニケーションも円滑にできています。職員会議の資料はすべてドライブで共有され、データには制限がかけられているので、生徒や外部からは見られることもありません。教員に対する研修は、G Suiteのアプリの使い方や注意事項まで、かなりの回数を重ねてきました。そうすることで、授業中はiPadでG Suiteを活用し、校務や授業準備はWindows PCでG Suiteを活用する。G Suiteを信頼するからこそ、「徹底的にG Suiteを使い倒す」ようになってきました。

先生も生徒も実現したいことに向けてICTを活用



--ASUS Chromebook Detachable CM3を導入した理由を教えてください。

 昨年までの導入機種はインカメラのみ。Google Meetなどのオンライン会議での利用には適していますが、自分以外の何かを撮影することには無理がありました。アウトカメラだけでなく、手書きができるペンもついているASUS Chromebook Detachable CM3を2021年度の新入生より導入することを決めました。なお、本校では購入時に2つのChromebookを生徒に提示して、自分が使いたいと思う端末を選べる形をとっています。自分で端末を選択するだけでもワクワクするんですね。自分ならこんなことをしたいから、この端末がほしいと主体的に考え選んでいます。

--授業や行事ではどのように活用されていますか。

 ASUS Chromebook Detachable CM3を導入してまだ数か月ですが、予想したとおり生徒が撮影する機会は増えました。キーボードを外してタブレットだけで撮影する1年生の姿に、落とさないかと心配しながらも、新しい使い方を見せてくれる新入生に期待しています。

 今までは、学校の他のタブレットを借りて写真や動画を撮影していた生徒たちが、ASUS Chromebook Detachable CM3を持って撮影や編集ができるようになってきます。これからは授業中もプリントや資料を撮影をして、手書きのペンで書き込みができるようになる。今までのChromebookではできなかったことを可能にしてくれるはずです。このChromebookを使って、自分の考えや思いを発信していく。そのために必要な創造力や表現力をさらに高めてほしいと願っています。

地域も含めて教育ICT活用をアップデート



--教育ICT活用のトップランナーとしてますます期待が高まりますね。

 コロナ禍もあって、大掛かりな視察などはありませんが、部活動で近隣の学校の先生とお会いするとICTについて話す機会が増えたと各顧問から聞いています。たとえば、体育祭のWeb配信の話になって、何を準備したら良いか、どうやったら良いか、何に注意したら良いかなどを尋ねられました。ICT支援員が少ない地域だからこそ、小中連携や中高連携の場で情報交換することで地域のICT教育をアップデートしていければ良いですね。もちろん、目指すは田舎の大将ではなく、全国のICT教育のトップランナーになるために、さらに先へと進みたいと考えています。

 これから新学習指導要領のもとで、デジタル教科書の利用が進んでいきます。私たち教員はデジタルとアナログの良さをしっかりと見分けながら、どちらも上手に使っていけるようにすることが大事。本校はICT教育で試してきたことを精査していく段階なのかもしれません。現在は情報過多になっているのも事実です。いろんなところに混在する情報に、いかにアクセスしやすくできるかを考えてみたいですね。

適切な情報にたどりつく力や情報を発信する力が大切



--ICTを活用するために大事なことを教えてください。

 まず、ICTに関係なく私が大事にしていることは、アップデートすることだと考えています。過去にできたことが、今も同じようにできるとは限りません。常に状況に合った形でアップデートし続けることが大事だと考えます。逆に変えたことによって失敗してしまうケースもありますが、諦めずにアップデートし続けることを心がけています。生徒たちに大事にしてほしいことは、自分にとって最適な情報を根拠をもって選ぶこと、そして、情報発信する際に自分が見えないことでも想像してみることですね。

 Googleなどを使って情報を検索することは簡単にできますが、膨大な情報の中から自分が必要な情報にたどりつくまでは大変です。検索の上位にある情報のみを鵜呑みにするのではなく、根拠をもって情報を読み取っていく力が必要です。さらに、スマートフォンを持っている生徒たちは、自分が情報を受信する側だけでなく、発信する側にもなり得ます。そこで大事なのは情報リテラシー。自分の主観だけで物事を発信するのではなく、発信した情報を他者がどう受け取るかまで自分の見えていることだけでなく見えない部分までを想像して情報発信することを大切にしてほしいですね。

日常に溶け込むASUS Chromebook Detachable CM3



 インタビュー後、奥田先生による高校1年生の数学A「場合の数と確率」の授業を見学させていただいた。すべての生徒がChromebook、筆箱、ノートを机に配置して授業に臨む。ASUS Chromebook Detachable CM3はコンパクトなのでスペースを取らないことが利点だ。

コンパクトなASUS Chromebook、筆箱、ノートを机上に設置して授業に臨む
コンパクトなASUS Chromebook、筆箱、ノートを机上に設置して授業に臨む

ASUS Chromebookを縦置きにしてペンを利用する生徒
ASUS Chromebookを縦置きにしてペンを利用する生徒

 授業で使用する課題プリントは、事前にGoogle Classroomを使って配布されている。その課題を一緒に取り組む形で授業は進行。サイコロ投げを例に、確率における「試行」と「事象」を学んでいく。奥田先生は、自ら自分のタブレットを操作して電子黒板に課題プリントを投影、わかりやすく説明を交えて進めていく。時に重要な部分にはマーカーを使って強調し、課題が進むごとに条件を複雑にしながら、生徒はスモールステップで問題に取り組んだ。時に周囲の人と話して考え方をすり合わせることも促され、自分の紙のノートで問題を解きながら、奥田先生からの問いかけにも答える生徒たち。授業中はASUS Chromebook Detachable CM3をタブレットとして使う生徒やペンを使って操作をする生徒なども散見された。

電子黒板にプリントを投影して授業を展開する奥田先生
電子黒板にプリントを投影して授業を展開する奥田先生

 授業後に4名の生徒に話を聞いた。授業の感想では「板書が見えなくて写すのに困ることがない」「手元のChromebookで字を大きくできる」「授業の進みが早くてわからなくても戻して見ることもできる」と、おもに板書に気を取られることなく学ぶことに集中できているようす。またASUS Chromebook Detachable CM3の使い勝手には好評価が寄せられた。「キーボードと分離できて狭いところにも置けるので快適」「タッチパネルも使いやすい」「友だちとカメラで写真を撮るなど授業以外にも使っている」「授業のときにノートが邪魔にならないので良い」などの声があった。

タッチパネルでピンチアウト
タッチパネルでピンチアウト(2本指で拡大)

 生徒たちは日常的にスマートフォンとChromebookを切り替えて利用している。たとえば「勉強中にわからないことをスマホで調べると違うアプリも気になってしまうので、調べ物はChromebookを利用することにしている」「ASUS Chromebook Detachable CM3ではYouTubeの動画を見て、スマホでインスタを見ている」など。生徒の多くがICTを使うことは将来に役立つと考えていて、もはやこうしたデバイスは、自分の周りにあって当然という意識が深く根付いていることが印象に残った。

インタビューに協力いただいた生徒のみなさん
インタビューに協力いただいた生徒のみなさん

 奥田先生へのインタビューや授業、生徒の声を通じて感じたのは、学校内外のステークホルダーの頼もしさ。奥田先生は「今こうやって本校がICTを進めてこられたのも、先生方がしっかりとICTの必要性を感じて協力いただいたから。生徒たちも失敗しながらも上手に使ってくれている。またASUSさんやリセラーのトーエネックさんをはじめとした外部の協力者の存在もとても大きい」と振り返る。最後に奥田先生は、ICTの活用を進めるうえで全国の学校の先生方からのアドバイスがとても支えになったことを明かした。今後、ICTを使うことが当たり前の教育現場がさらに日本全国に広がることを期待したい。

ASUS Chromebook Detachable CM3
CM3000を持って記念撮影
《佐久間武》

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