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GIGA端末、本来の意図が保護者に浸透していない…第2回調査協力者会議

 文部科学省初等中等教育局情報教育・外国語教育課による第2回GIGAスクール構想に基づく1人1台端末の円滑な利活用に関する調査協力者会議が2021年7月14日に開催された。会議の模様を紹介する。

イベント 教員
GIGAスクール構想に基づく1人1台端末の円滑な利活用に関する調査協力者会議(第2回)
  • GIGAスクール構想に基づく1人1台端末の円滑な利活用に関する調査協力者会議(第2回)
  • 1人1台端末における保護者の懸念点 (c)  日本PTA全国協議会 All Rights Reserved.
  • 1人1台端末における保護者の懸念点 (c)  日本PTA全国協議会 All Rights Reserved.
  • 教育情報セキュリティポリシーガイドライン改訂の背景について
  • 端末整備推進にともなう新たなセキュリティ対策
  • 端末整備推進にともなう新たなセキュリティ対策
  • 教育情報ネットワークの在り方について
  • その他の改訂内容について
 文部科学省初等中等教育局情報教育・外国語教育課による第2回GIGAスクール構想に基づく1人1台端末の円滑な利活用に関する調査協力者会議が2021年7月14日に開催された。会議の模様を紹介する。

 会議ではまず、4月より本格的に開始されているGIGAスクール構想について、関係する分野の有識者からヒアリングを行った。

1人1台端末の整備を保護者はどのように受け止めているのか



 最初は日本PTA全国協議会の金田淳氏を迎え、保護者の視点から見るGIGAスクール構想について語られた。

 コロナ禍以前より進められていたGIGAスクール構想であるが、金田氏によると「保護者は新型コロナウイルス感染症による臨時休校の対策として、1人1台端末が配られているという認識が多い」という。GIGAスクール構想が前倒しで急速に進められたため、本来の意図が保護者に浸透していない実態が明かされた。

 しかし、在宅勤務の増加や、スマホ・タブレットの所持率が増加しているので、家庭の環境はほぼ整っており、タブレット等の端末を子供が家に持って帰っても特に違和感なく保護者に受け入れられている印象だという。また、ディスレクシア(識字障害)で読み書きに困難を抱える子供をもつ家庭は、その子に合わせた学習を提供できる可能性が広がることから、学習における端末の導入を待ち望んでいたと語っている。

 GIGAスクール構想の有効な活用について、「学校と家庭のより深い連携や、長期休業中等におけるリアルタイムでの子供たちのようすの把握・フォロー」「山間地の小規模校等において、地域や学校を跨いだ学びの機会の確保」「英語の発音や数学の立体図形等、特定の教科における有効性の発揮」「手をあげて発言するのが苦手な子供たちが、端末入力で意見を言う機会が増えること」の4点をあげた。これから夏休みを迎えるにあたって端末がどのように使われるのか、保護者としても楽しみだという。

 また、学校の端末、子供たちの端末、保護者の端末が相互連携し、子供たちの学習状況や学校でのようす等、リアルタイムで状況共有し、学校教育や家庭教育に生かしていくこと。デジタルが特に有効な教科をしっかりと活用していくこと。他にも海外との交流や、不登校児童生徒の学習機会の確保、先取り学習をしたい子供たちにも有効な方法だと思っているという。

 GIGAスクール構想を進めるにあたって今後配慮してほしい点として、「長時間の利用による、視力・聴力低下等の影響」「端末の管理責任について、家庭に持ち帰ったときに破損、紛失の際の責任の所在が明確ではない」「指導する先生のICT活用能力の差」「紙の教科書と端末とで、理解度や成績にどの程度違いが出てくるのか」「家庭でのネットワーク環境」に対する懸念があげられた。

 金田氏の発表を受けて委員からは、「学校と家庭の両者で連携して行うリテラシー教育について、全国のPTA組織ではどのような取組みを行っているのか」「GIGAスクール構想の進み具合に地域差があることについて、PTAはどのように思っているのか」等の質問が寄せられ、金田氏は実際の状況を交えながら回答した。

教育情報セキュリティポリシー第2回改訂のポイント



 続いて、KUコンサルティング代表で文部科学省ICT活用教育アドバイザー、文部科学省ガイドライン改訂検討会主査も務める髙橋邦夫氏を迎え、情報セキュリティに関するヒアリングが行われた。地方公共団体で働いた経験をもつ髙橋氏は、総務省のセキュリティポリシーの作成に携わった。文部科学省のセキュリティポリシーガイドライン作成にも従事している。

 まず髙橋氏は、教育情報セキュリティの基本的な考え方について説明。続いて、情報セキュリティガイドライン策定と改訂における一連の流れを説明した。そして、コロナ禍において1人1台端末の環境整備を前倒しすることになったための急速な学校ICT環境整備の推進を踏まえ、2021年5月に行われた第2回改訂について紹介した。

 第2回の改訂でポイントとなるのは、「端末整備推進に伴う新たなセキュリティ対策の充実」と「教育情報ネットワークの在り方を明確化」の2点だと髙橋氏は語る。さらに、端末整備推進に伴う新たなセキュリティ対策の充実について、「クラウドサービス利用における留意点」「モラル教育」「ID登録・変更・削除」といった具体的な項目を詳しく説明した。

 教育情報ネットワークの在り方としては、1人1台端末を利活用するための新たな教育情報ネットワークについて整理。安全なWebサイト・クラウドについては直接インターネットへ接続する「ローカルブレイクアウト」という考え方が新たに取り入れられたこと。また、ネットワーク分離を必要としない、認証によるアクセス制限を前提とした構成を提案していることが語られた。

 情報資産の「持ち出し」「外部送信」が利活用の弊害となっているケースについて、今後のデータ活用促進に向けて現場の実態に即した形に見直し、適正化。個人情報保護については、クラウドサービスを利用して個人情報を取り扱うことを条例により一切認めていないという自治体もあることから、個人情報審議会にはかるうえで整理すべきおもな項目例がまとめられているという。

 髙橋氏は他にも、クラウドサービス活用における第三者認証や、クラウドサービス提供元のセキュリティ確認についても紹介。国会で成立した「デジタル改革関連法」の個人情報保護制度に関する改正についても触れている。

 髙橋氏の発表を受けて委員からは、「個人情報やセキュリティが守られて、子供が育つ、良いバランスで取り組んでいる事例があれば教えてほしい」「家庭のネットワークにつないだときに危惧されることを教えてほしい」等の意見が寄せられ、髙橋氏は今後の課題等を出しながら意見交換が行われた。

利活用状況調査は2021年秋に実施予定



 会議の最後には、小学校・中学校・高校等で実施予定の利活用状況調査の調査項目案について議論が行われた。利活用状況調査は、学校現場の利活用の具体的な状況を学校種ごとに調査・整理することが目的。1人1台端末の環境を整備し、ICTの利活用を良好に進めている学校50校程度を選定し2021年9月~11月ごろに行われる予定となっている。
《外岡紘代》

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