コロナ対応は明確な答えがない
新型コロナウイルスの流行は学校教育活動にさまざまな影響を与えています。特に宿泊体験学習、運動会等の行事が予定通りに実施できないという事態となっています。当該地域の感染状況によって実施の有無を決定するため、実施の有無の決定が直前となってしまうことも多いです。今回は、そういった学校行事の実施に関するクレームをテーマにしたいと思います。
新型コロナウイルスがある程度流行している現在のような状況において、運動会や宿泊体験学習等の学校行事を実施していくことは、さまざまな難しさがあります。予定通りに実施したとしても、さまざまな影響を考慮して延期や中止をしたとしても、どちらにしても何らかの苦情が学校に寄せられる可能性があります。コロナへの対応については、算数の計算問題のように明確な答えがあるものではありません。
リスクについて説明することが大事
実施をするにせよ、延期や中止をするにせよ、そのリスクについて説明をすることが大事になります。学校として、決定した内容について、決定に至った経緯についてきちんと伝えていく必要があるでしょう。学校の行事なので、家族が旅行すること等とは違い、集団が行動することによるリスクがあります。そういった内容について丁寧に伝えていくことが大切でしょう。
この原稿を書いている2021年7月初旬において、東京を中心とした関東圏では少しずつ新規感染者が増え出しています。「第5波」の始まりではないかとも言われています。そういった状況において、東京を目的地とした修学旅行を実施するのか否かということは、とても難しい判断となります。新型コロナウイルスに関するものは、状況が刻一刻と変化しています。学校の教職員は感染症等の専門家ではありません。感染者の増減に関する見通しを持つことはとても難しいことです。
学校行事を見直すきっかけに
また、こういった状況において、それぞれの学校行事の必要性をゼロベースで考えることも必要なのではないかと思います。平時において、それまで取り組んでいた学校行事を無くしていくことは難しいことです。現在は、新型コロナウイルスの流行によって学校教育活動がさまざまな影響を受けています。一年前には全国的に一斉休校が行われ、学校の存在意義についてさまざまな議論がなされました。一斉休校と関連して、予定よりも早く進められた「GIGAスクール構想」によって、日本中の学校において、一人一台のタブレット/PCが配布されています。このことも今後も学校のあり方に変化を与える要素となります。
このような大きな変化は、現在取り組まれている学校行事が本当に必要なものなのかどうかということを考える良いチャンスだと思います。これまでの学校は「ビルド アンド ビルド」で取り組むものをどんどん増やしていったという経緯があります。これまでの学校は「子供のため・・・」という言葉によって、少し無理をしても取り組むことを増やしていきました。そういった学校のようすは相当に無理のある状況だと言うことができます。新型コロナウイルスの流行が落ち着いたころ、コロナ以前の状況にそのまま戻るのではなく、多くの学校がアフターコロナの新しい学校の姿となっていることを願います。
本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられたクレームのほか、保護者が学校へ伝えたクレーム等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたいクレーム事例を募集します。
質問をする