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公立学校教員採用試験、小学校は過去最低2.7倍…文科省

 2020年度(令和2年度)公立学校教員採用選考試験で、小学校教員の競争率(採用倍率)が過去最低の2.7倍であったことが2021年2月2日、文部科学省の調査結果より明らかになった。全体の競争率は3.9倍、中学校は5.0倍、高校は6.1倍と、いずれも前年度から減少している。

教育行政 文部科学省
【総計】受験者数・採用者数・競争率の推移
  • 【総計】受験者数・採用者数・競争率の推移
  • 【小学校】受験者数・採用者数・競争率の推移
  • 【小学校】競争率が低い県市、高い県市の推移
  • 【中学校】受験者数・採用者数・競争率の推移
  • 【高校】受験者数・採用者数・競争率の推移
  • 競争率が高い・低い県市
  • 各県市別の競争率
  • 【小学校】受験者数の内訳(新規学卒者、既卒者)
 2020年度(令和2年度)公立学校教員採用選考試験で、小学校教員の競争率(採用倍率)が過去最低の2.7倍であったことが2021年2月2日、文部科学省の調査結果より明らかになった。全体の競争率は3.9倍、中学校は5.0倍、高校は6.1倍と、いずれも前年度から減少している。

 文部科学省は、67都道府県・指定都市教育委員会および大阪府豊能地区教職員人事協議会が実施した公立学校教員採用選考試験の実施状況について、毎年度調査を実施している。今回、2019年度(令和元年度)に実施した2020年度採用選考の実施状況を取りまとめ、公表した。

 受験者総数は、前年度比1万423人減の13万8,042人。採用者総数は、前年度比106人増の3万5,058人。競争率は3.9倍で、前年度の4.2倍から減少した。

 試験区分別では、小学校は受験者数が前年度比2,951人減の4万4,710人、採用者数が前年度比336人減の1万6,693人、競争倍率は2.7倍(前年度2.8倍)。中学校は、受験者数が前年度比3,427人減の4万5,763人、採用者数が前年度比482人増の9,132人、競争倍率は5.0倍(同5.7倍)。

 高校は、受験者数が前年度比3,226人減の2万6,895人、採用者数が前年度比68人増の4,413人、競争倍率は6.1倍(同6.9倍)。このほかの競争率は、特別支援学校が3.1倍(同3.2倍)、養護教諭が6.5倍(同6.3倍)、栄養教諭が8.1倍(同8.0倍)。養護教諭と栄養教諭以外で、競争率が下降している。

 多くの県市で競争率の低下傾向が続いており、一部で著しく低くなっている。全体の競争率が低い自治体は、「北九州市」2.1倍、「山形県」「富山県」2.4倍など。小学校では、「佐賀県」「長崎県」1.4倍、「北九州市」1.5倍、「富山県」「福岡県」1.6倍などが低い状況にある。

 文部科学省では、調査結果について「採用者数が平成12年度(2000年度)以降ほぼ一貫して増加しており、近年の採用倍率低下は、大量退職等に伴う採用者数の増加の寄与するところが大きい」「採用者数が中長期的に安定している自治体では高い採用倍率を維持している一方、採用者数を増やしてきた自治体で採用倍率が低下している状況にある」と分析している。小学校については、受験者数の内訳を分析してみると、新規学卒者は小幅な減少にとどまっている一方、既卒者が大きく減少しているという。

 文部科学大臣の下に1月19日に設置した「『令和の日本型学校教育』を担う教師の人材確保・質向上に関する検討本部」では、当面の対応として「『令和の日本型学校教育』を担う教師の人材確保・質向上プラン」を作成。「35人学級を担う教師の確保」などに向け、教員養成・採用・研修の在り方などを示している。
《奥山直美》

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