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【クレーム対応Q&A】授業が面白くない

 保護者から学校(担任)に連絡(相談、クレームなど)が来る場合、友達関係のこと、学習のことが多いように感じます。今回は、授業が面白くない(子どものレベルに合っていないなど)などに関して話題にしていきたいと思います。

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 学校に寄せられるさまざまなクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第20回は「授業が面白くない」。

 保護者から学校(担任)に連絡(相談、クレームなど)が来る場合、友達関係のこと、学習のことが多いように感じます。今回は、授業が面白くない(子どものレベルに合っていないなど)などに関して話題にしていきたいと思います。

学習内容はクラスにいる子どもの
真ん中を想定


 保護者から、学習(授業、宿題など)に関する連絡が来た時には、「授業の改善」「学級経営」の改善の良いチャンスだと私は思っていました。通常、いきなり「激しいクレーム」のような形で来るのではなく、その前段階として「相談」がある場合が多いです。その時点でその子どもの状況、クラス全体の状況などを見ながら、色々と考えていくと良いです。

 「授業が面白くないので、他のテキストを使って勉強したい」などの連絡が来た時には、授業のやり方を少し変えていくことを考えてみると良いでしょう。通常の授業、たとえば算数の授業に取り組む際、学習内容やレベルはクラスにいる子どもの真ん中を想定して取り組むことが一般的です。

 しかし、やり方によっては、得意な子ども(塾などに通っている子どもなど)にとって、既知の内容で面白くない、苦手な子どもにとって、内容が理解できないので面白くないということになります。その得意な子ども、苦手な子どもがクラスのそれぞれ1/3の割合だとしたら、取り組んでいる授業はクラスにいる子どもの1/3にしかフィットしていないということになります。

できるだけ多くの子どもの学びの質を高める


 できるだけ多くの子どもの学びの質が高まるようにやり方を工夫していくことになります。学校全体として取り組むこととしては、ティームティーチング(TT)や少人数授業の導入などがあります。ただこれは、教員の任用などにも関連することで、法律や予算などが関わってきます。教員個人ができることではありません。

 教員が個人として取り組むことができるものは「授業方法の工夫」です。たとえば、授業の中で取り組む課題をこれまでは1つしか用意していなかったものを複数(違ったレベルのもの)用意することなどです。子どもが自分の能力に合った課題に取り組むことで、個への対応ができます。色々な場面で複数の選択肢を用意し、子どもが自分で選ぶことができるような状況を作ることで、はじめに書いた「授業が面白くない」ということは減っていく(子どもの満足度が高まる)のではと思います。

 また、宿題で対応するやり方も良いでしょう。皆で同じものに取り組むドリル的な宿題だけではなく、それぞれが取り組むものを考える「自主学習」のようなタイプの宿題に取り組むのです。家庭での学習において、それぞれが自分の興味関心に沿って、自分の学習のレベルに合った形で宿題に取り組むというやり方です。

 現在、パソコン1人1台の施策が進んでいます。2021年3月末までに全国の99%以上の学校で配布が完了するとされています。こういった環境が整うと先ほども書いた「学習の個別対応」が取り組みやすくなることが予想されます。それは学校の授業もそうですし、家庭での宿題でもそうです。今後、多くの学校でパソコンやタブレットが活用されることで、ソフトの部分(アプリなど)が急速に改善されてくることが予想されます。そういったものの情報をしっかり得るようにしていくことも大切でしょう。
《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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