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ICT支援員認定者の実態調査…資格取得後の従事者は約半数

 ICT支援員認定合格者の約半数が現在ICT支援員として働いていないまたは業務に含まれていないという状況であることが、2020年3月15日に情報ネットワーク教育活用研究協議会(JNK4)が発表した調査結果より明らかとなった。

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現在ICT支援員として働いているか
  • 現在ICT支援員として働いているか
  • ICT支援員認定者の都道府県分布
  • 都道府県別1認定者当たりの学校数
  • ICT支援員として実際にやってきた(あるいはやったことのある)仕事
  • 雇用主体
  • 2018年の年間収入
  • ICT支援員の社会的認知を上げるために必要な活動
 ICT支援員認定合格者の約半数が現在ICT支援員として働いていないまたは業務に含まれていないという状況であることが、2020年3月15日に情報ネットワーク教育活用研究協議会(JNK4)が発表した調査結果より明らかとなった。

 ICT支援員に関する認定試験は、2013年6月より毎年2回(6月および10月または11月)実施しており、これまでの総受験者数は、2020年1月の段階でのべ2,913名にのぼり、そのうちこれまでに合格した者は1,549名。都道府県別では、「東京都」219人、「大阪府」148人、「神奈川県」142人の順に多かった。都道府県別1認定者当たりの学校数(各都道府県の全学校数をICT支援員認定者数で割った値)は、もっとも多い「高知県」426校と、もっとも少ない「沖縄県」10校とで40倍以上も差があった。

 今回のICT支援員認定者の実態に関するアンケート調査は、2013年6月より2018年11月までにICT支援員認定試験認定に合格した1,287名に対して実施し、238名の有効回答を得た。なお、合格者全員ではなく合格後1年以上経過したものだけを対象にしたのは、認定書取得の結果が社会にどのように認知され実態に影響を与えているかを把握するためであり、今後も1年遅れで取得者の実態調査を続ける予定。

 現在ICT支援員として働いているか聞いたところ、「現在ICT支援員として働いている、または業務に含まれている」と回答した人は50.4%。ICT支援員認定合格者の約半数が現在ICT支援員として働いていないまたは業務に含まれていないという状況であることがわかった。

 ICT支援員として働いているあるいは業務として含んでいる人を対象に、ICT支援員として実際に行ったことのある仕事内容について質問。「授業での教師へのICT支援」「PC機器の片付け整備」が同率84.8%でもっとも多く、「ソフトウェアのインストール」「機器ソフト操作の児童生徒への支援」同率83.0%、「PCの設定変更」「ICT利活用の研修の講師」同率79.5%などが続いた。

 雇用主体について聞くと、「教育・情報をおもとする会社」62.5%が最多。このほか、「人材派遣をおもとする会社」18.3%、「教育委員会など」12.5%などが続き、回答者の多くは自治体雇用ではなく、民間業者に雇用されてICT支援員業務を行っていることがわかった。2018年の年間収入については、200万未満が約50%、200万~300万が20%、300万以上が15%という結果となり、ICT支援員だけの仕事で経済的に自立するには難しい状況がうかがえる。

 現在ICT支援員として働いていないあるいは業務に含まれていない人に、ICT支援員の社会的認知を上げるのに必要な活動を聞いたところ、もっとも多かった回答は「アピール」48件。アピールの中には、「ICT支援員という職業のアピール」「教育委員会、自治体への認知促進」「活動事例の公開」などが含まれている。このほか、「制度」31件、「労働条件」15件などの回答があった。
《桑田あや》

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