文部科学省は2026年8月27日、「大学発ベンチャー表彰2026」の受賞者を発表した。文部科学大臣賞にはOUI、経済産業大臣賞にはBionicM、科学技術振興機構理事長賞にはさかなドリームなど、6社とその成長を支えた大学・企業が選ばれた。
「大学発ベンチャー表彰」は、大学などの研究開発成果を活用した起業や、起業後の挑戦的な取組み、大学・企業による支援を促進することを目的に、2014年度に開始した表彰制度。2017年度からは40歳未満・設立3年以内の企業などを対象とする「アーリーエッジ賞」を設けている。
2026年は3月19日から4月27日まで募集を行い、41件の応募があった。外部有識者による選考委員会が書類・面接審査を行い、6社を最終ノミネート企業として選定。8月27日に東京ビッグサイトで開催された「大学見本市2026~イノベーション・ジャパン」内の表彰式で、各賞の受賞者が発表された。
文部科学大臣賞を受賞したのは、スマートフォン装着型眼科医療機器「Smart Eye Camera(SEC)」とAIを活用した遠隔眼科診療システムを開発・展開するOUI。慶應義塾大学医学部眼科学教室とリベルワークスが支援した。世界60か国以上で眼科医療へのアクセス改善に取り組み、途上国や離島など医療資源が限られた地域での失明予防に貢献している点や、技術・医療・社会課題解決を融合した革新性、世界展開を見据えた事業性などが評価された。
経済産業大臣賞は、下肢切断者向けパワード義足「Bio Leg」を開発・販売するBionicMが受賞。東京大学が支援し、東京大学エッジキャピタルパートナーズも創業前から出資や資金調達などを支援してきた。米国でFDAクラスII医療機器登録や医療保険適用承認を取得し、販売を開始するなどグローバル展開を実現。装着者のQOL向上に貢献する技術革新性や事業性、社会課題解決性などが評価された。
科学技術振興機構理事長賞には、さかなドリームが選ばれた。東京海洋大学学術研究院が支援し、大学発ベンチャー認定や関連特許のライセンス、共同研究、技術指導などを行っている。独自の「代理親魚技法」による希少魚の完全養殖と安定生産を実現し、高級養殖魚「夢あじ」の開発・ブランド化などを通じて、水産業の高付加価値化や持続可能な食資源供給に貢献している点が評価された。
新エネルギー・産業技術総合開発機構理事長賞は、Planet Saversが受賞。東京大学大学院工学系研究科と東京大学FoundXが支援した。大気中から直接CO2を回収する「Direct Air Capture(DAC)」システムを開発し、東京大学発の新規ゼオライト材料と、熱を用いず圧力差でCO2を分離・回収する独自装置を組み合わせた低コスト・省エネルギー型技術の実現を目指す。カーボンニュートラル社会の実現に向けた革新性や、DAC分野で事業化を進めている点などが評価された。
日本ベンチャー学会会長賞は、迷走神経刺激による急性炎症制御デバイス「ARiS」を開発するアドリアカイムが受賞。国立循環器病研究センターとSCREENホールディングスが支援した。同センターの研究成果とオリンパスで培われた医療機器開発ノウハウを基盤に、急性心筋梗塞後の心不全進行を抑制する世界初の治療技術の開発・事業化を進めている点などが評価された。
大学発ベンチャー表彰特別賞には、救急医療向け画像診断AI「ERATS」を開発するfcuroが選出された。大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センターが支援し、現役救急医としての経験を生かした技術開発や臨床研究を進めている。全身CT画像から異常個所を短時間で検出し、救急医療現場での迅速な診断を支援。8年にわたり蓄積・アノテーションを続けてきた医療データ基盤やPMDA承認申請まで進展している実装力、高い公共性・社会的意義などが評価された。なお、2026年はアーリーエッジ賞の受賞はなかった。
受賞者の一覧は、文部科学省のほか、経済産業省、科学技術振興機構のWebサイトなどで公表している。受賞理由などの詳細は、科学技術振興機構「大学発ベンチャー表彰」のページで確認できる。








