国立教育政策研究所は2026年7月16日、プロジェクト研究「不登校・いじめ等の生徒指導上の諸課題と学校風土等との関連および効果的な取組等に関する調査研究」の中間報告書を公表した。「学校とのつながり」が「いじめ加害経験」や「欠席意向・欠席行動」と負に、「社会的態度・行動」と正に関連することが示されたという。
「不登校・いじめ等の生徒指導上の諸課題と学校風土等との関連および効果的な取組等に関する調査研究―地域との中・長期的な連携を生かして―」は、国立教育政策研究所生徒指導・進路指導研究センターが2024年度から2027年度にかけて実施しているプロジェクト研究。
今回、「学校風土・生徒指導改善調査チーム」による2024年度調査(中学生を対象とした学校風土調査)の研究結果を取りまとめ、中間報告書として公表した。2022年改訂の「生徒指導提要」に明示された「発達支持的生徒指導」に着目し、その機能を学校風土の観点から理論的・実証的に把握することが目的。複数の教育委員会が所管する公立中学校69校、2万7,533人を対象にオンライン調査を実施し、58校1万5,377人から回答を得た(回答率55.9%)。
研究では、学校への好感や所属意識、心理的な安心感を表す「学校とのつながり」を学校風土の中核概念とし、「学校保護要因」「学校・学級環境」「学校外保護要因」「社会的態度・行動」から成る学校風土調査票を開発。尺度構造、因子同士の構造的関係、外的基準との関連を実証的に検討した。
分析の結果、学校風土は複数の領域から成る学習環境の質として把握し得ることが示された。また、教職員や学校の組織的な取組みによって変化し得る「学校保護要因」が、生徒の日常的な学校経験である「学校・学級環境」と強く関連し、それが「学校とのつながり」と関連するという構造が示唆された。
加えて、「学校とのつながり」が高いほど「いじめ加害経験」「欠席意向・欠席行動」を有しにくい傾向、「学校とのつながり」が高いほど思いやり・学習意欲・共感性・課題解決力・活力が高い傾向が示された。さらに、学校風土調査が、学校および教育委員会による確認・点検と改善の循環を支える実践的・政策的手法となり得ることも示唆された。
「学校保護要因」については、過去の国立教育政策研究所の研究で明らかにした「教職員との関係性」や「保護的規律」に加え、「指導・援助の質」「自己有用感支援」「諸活動参画支援」「友人関係支援」などの複数の側面から整理され、発達支持的生徒指導の機能をより多面的に把握できる指標として位置付けられることが示されたという。
同研究所では、今回の研究の意義について「『学校とのつながり』を生徒指導上の成果指標として位置付けるとともに、『学校保護要因』を、教職員や学校の取組みによって改善可能なプロセス指標として整理した点にある」と指摘。学校風土調査について、学校の強みや課題を把握するための情報として活用し、教育委員会や学校による確認・点検、対話、改善の循環へと接続する可能性が示されたとしている。
今後は、継続調査を通じた縦断的な検証、他校種や他地域への展開、学校風土以外の教育データとの接続、調査結果のフィードバック方法の検討などを進め、学校風土研究を発達支持的生徒指導の理論化と実践化、教育委員会による継続的な学校改善支援へと接続していくことを目指す。









