文部科学省は2026年4月27日、大学研究力強化に向けた取組みの推進委託事業について、2025年度の調査研究報告書を公表した。大学の「戦略的裁量経費」に着目し、財源の捻出方法や重点投資先などを調べ、考察している。
調査は、文部科学省の委託を受けた有限責任監査法人トーマツが実施。「国内大学の戦略的裁量経費に関する調査」と「大学の研究力強化に向けた諸外国の研究大学支援施策群とその効果に関する調査」の2025年度調査研究報告書を公表した。
このうち、「国内大学の戦略的裁量経費に関する調査」は、国内で高い研究力を有する研究大学の中から、地域的な偏在が生じないように配慮して国立大学8法人、私立大学4法人の計12法人を対象とした。調査期間は2026年1~3月。
大学の財源の多くが使途の拘束性が高いという現状を踏まえ、裁量性の高い収入をいかに戦略的に学内へ配分し、重点的かつ機動的な投資を行う仕組みが整備されているかを明らかにするため、「戦略的裁量経費」に着目し、財源の捻出方法や投資先、活用事例などを調査・分析した。
その結果、国立大学では運営費交付金・外部資金の間接経費をおもな財源としている大学が多かった。戦略的裁量経費を多く確保している大学でも、運営費交付金・外部資金の間接経費がおもな財源であった。私立大学は戦略的裁量経費を確保する必要性が認識されているものの、国立大学と比較すると金額規模は少ない傾向にあった。捻出財源は、基金などの運用益、外部資金間接費、学納金、寄付金など、大学ごと特色がみられた。
調査報告書では「先進的な事例を踏まえると、財源そのものの拡大に加えて、各財源から戦略的裁量経費への按分割合を引き上げることも有効な方策として考えられる。その際には学内における調整が不可欠であり、各部局に適切な還元が及ぶ仕組みとするなど、全学的な理解と納得を得られる形で戦略的資源配分制度を構築することが重要である」と分析している。
このほか、詳細なヒアリングを行った6大学のうち過半数が、研究力強化に向けた重点投資先として、「研究人材の活躍」 「研究支援人材の活躍」 「研究インフラの充実」をあげた。調査報告書では事例を踏まえ、研究力強化に資する投資の方向性に「萌芽的な研究への投資」「部局横断的な研究への投資」「補助金終了後、自走化に向けた移行期コストへの対応」「中長期的な大学独自の施策への活用」の4点を提示している。
一方、「大学の研究力強化に向けた諸外国の研究大学支援施策群とその効果に関する調査」では、イギリス、ドイツ、オランダ、インド、韓国の5か国を対象に「大学機能」「地域」「領域・分野」という3つの軸から戦略や資金配分モデルを分析。日本が目指す将来像「TOBE」の実現に向けた支援施策検討への示唆などを載せている。
調査報告書は、文部科学省Webサイトで公開している。











