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クラスの女子比率、STEM分野の大学進学に有意な影響…中室教授ら発表

 経済産業研究所(RIETI)は2026年4月7日、クラスの女子比率がSTEM分野の大学進学に与える影響について分析したディスカッションペーパーを公表した。クラスの女子比率がSTEM進学に与える影響は文理選択の前後で逆転し、ともに有意な影響を与えている傾向がみられた。

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クラスの女子比率がSTEM分野への大学進学に与える影響
  • クラスの女子比率がSTEM分野への大学進学に与える影響
  • クラス女子比率とSTEM志望の離脱・文系志望への変更(全期間)

 経済産業研究所(RIETI)は2026年4月7日、クラスの女子比率がSTEM分野の大学進学に与える影響について分析したディスカッションペーパーを公表した。分析によると、クラスの女子比率がSTEM進学に与える影響は文理選択の前後で逆転し、ともに有意な影響を与えている傾向がみられた。

 同ディスカッションペーパーは、慶應義塾大学の中室牧子教授と石倉秀明氏、高知工科大学の林良平氏によって執筆されたもの。埼玉県内の高校12校・男女3,924人の模試データを用い、クラスの女子比率という「ピア構成」が、STEM(科学・技術・工学・数学)分野への進路選択や進学に与える影響について追跡調査、分析している。なお、ディスカッションペーパーは研究成果を議論喚起のためにRIETIが公表するものであり、内容は執筆者個人の見解であるとされる。

 分析の結果、文理選択前の高校1年では、女子比率が高いクラスほど女子がSTEM志望から離脱しやすい傾向が確認された。一方、文理選択後の高校2年以降では、この関係が逆転し、女子比率が高いクラスほどSTEM志望を維持しやすくなる傾向がみられた。この効果は女子にのみ一貫して観察され、男子には明確な影響が見られなかった。

 分析では、背景にロールモデル効果と同調圧力という社会的要因があるとしている。文理選択前は文系志望が多数派となりやすく、「周囲に合わせる」圧力が女子の理系離脱を促す。一方、文理選択後は理系志向の生徒が集まるため、STEM志向の女子が互いにロールモデルとして機能し、進路維持を後押しする構造に変化する。

 また、女子比率の影響は実際の大学進学にも影響を与えていることが明らかになった。文理選択前に女子比率が10ポイント上昇すると、女子のSTEM進学率は約2ポイント低下する一方、文理選択後では約5ポイント上昇する結果となった。

 さらに、STEM分野の男女格差は学力差では説明できないことも確認された。数学の偏差値や相対順位を統制しても、女子の理系離脱傾向は残り、進路選択には心理的要因や環境の影響が大きいことが示唆されている。

 研究では、こうした結果から、女子のSTEM進路を促進するには学力向上だけでなく、ピア環境の設計が重要と指摘する。とくに、文理選択後にSTEM志向の女子が一定数存在する環境を整えることが、進路維持に寄与する可能性があるとした。

 同ディスカッションペーパーは、RIETIのWebサイトに掲載されており、全文を閲覧することができる。

《畑山望》

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