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高校教育改革基金の公募開始、デジタル併願制の検討状況など…文科相2/13会見

 文部科学省の松本洋平大臣は、2026年2月13日の定例記者会見において、2040年を見据えた「高校教育改革のグランドデザイン(基本方針)」を公表した。同日、地方自治体の取組みを支援する約3,000億円規模の基金の公募を開始した。

教育行政 文部科学省
松本洋平文部科学大臣記者会見(2025年2月13日)
  • 松本洋平文部科学大臣記者会見(2025年2月13日)

 文部科学省の松本洋平大臣は、2026年2月13日の定例記者会見において、2040年を見据えた「高校教育改革のグランドデザイン(基本方針)」を公表した。同日、地方自治体の取組みを支援する約3,000億円規模の基金の公募を開始した。

 高校教育改革のグランドデザインは3党の合意に基づき、2025年度中に提示することとされていたもので、2025年11月28日に骨子を公表後、タスクフォースでの意見交換やパブリックコメントを通じて広く意見を募り、検討を重ねてきた。

 基本方針には、新たに高校教育改革を通じて実現を目指す新しい学校のイメージや取組み例について、専門高校の機能強化・高度化、普通科改革を通じた高校の特色化・魅力化、地理的アクセスや学びの確保の観点を示している。また、今後の財政面の支援として、交付金などの新たな財政支援の仕組みを構築することや、都道府県に基金を造成して高校教育改革を先導する公立校を支援する方針を示した。

 交付金については2027年度(令和9年度)予算編成過程で検討することとされており、今後その実現に向けて尽力する方針だ。交付金などは、各都道府県がそれぞれ実行計画に基づき、改革先導拠点のみならず、地域全体としての高校改革を支援することを想定している。

 今回の改革を通じて2040年までに達成を目指す目標も盛り込んだ。職業教育の高度化、普通科のあり方の転換、多様な学びの確保の観点から設定しており、たとえば普通高校の生徒のうち、文系と理系の生徒の割合が同程度となるよう、特色・魅力ある普通科改革を進めるといった目標を定めている。

 高校教育改革促進基金は、今回の改革の実現に向け、実践的な学びを行う改革先導拠点を各都道府県に創設するもので、この基金を十分に活用して改革を加速していく。松本大臣は2月12日に首相官邸を訪れ、この高校改革について説明し、総理からもしっかりと進めるようにという指示を受けたという。これからの未来を担う高校生が夢や希望をもって学ぶことができるよう、文部科学省としてもさまざまな関係者と連携しながらスピード感をもって改革に取り組んでいく考えだ。

 記者会見では、公立高校入試へのいわゆる「デジタル併願制」の導入に関する検討についても言及した。高校の入学者選抜の実施方法などについては、実施者である各都道府県教育委員会などが決定するものだが、デジタル技術を活用した併願制については、メリットも考えられる一方で、生徒の多様な個性・能力が十分に評価されるのか、学校の特色や魅力が損なわれることがないのか、また地域人材を育成する専門高校に影響がないかなどの課題も想定されている。

 文部科学省としては、こうした課題について引き続き、全国の教育委員会の高校入試担当者や有識者との意見交換を行っている。4県において実施している併願制(デジタルではない)などの事例なども参考にしつつ、併願制とデジタル併願制のメリット・デメリット、実情も把握しながら、検討を進め、関係者とも連携していくとした。

 私立大学における人文・社会科学系と理工農系の授業料格差の是正について記者から質問があった。松本大臣は、私立大学における理工系人材の育成強化の重要性を示したうえで、理工農系の授業料負担が比較的重いという観点から、2024年度から「中間層の学生への支援拡大」を図っていることをあらためて強調。2026年度予算案においては「私学助成(私立大学等経常費補助金)」の中に「理工農系学部の単価を個別に設ける」ことで拡充を図るなど、学生の経済的負担の軽減や教育環境の充実に、引き続き取り組んでいくとした。

 第7期科学技術・イノベーション基本計画の素案については、「10年以内(2035年)にトップ10%補正論文数において、世界第3位に復することを目指す」など目標が設定されているが、こうした高い野心的な目標を掲げ、国をあげて取組みを進めていくということは、研究力強化に向けて、大変重要なことだと思っていると発言。大切なことは、目標達成に向けて、わが国全体の研究活動の行動変革をもたらす、研究システムの刷新、研究大学の経営マネジメント強化による組織の機能強化、基盤的経費や基礎研究への投資の大幅な拡充などを進めていくことだとした。

 また、日大三高の野球部をめぐる事件に関しては、現在捜査中であり、個別の見解を差し控えるとした一方で、性犯罪、性暴力は被害者の心身に、長期にわたり有害な影響を及ぼす極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではないと強く非難した。

 文部科学省としては、引き続き、子供たちが性犯罪、性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないように、SNSなどを通じた事案にかかる教育啓発も含めて、命の安全教育や情報モラル教育の推進に取り組むとともに、児童ポルノ事案が発生した場合は、警察などの関係機関と連携して対応するなど、性犯罪の抑制に向けた取組みを徹底していくと述べた。


《川端珠紀》

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