千は2026年1月、「保育園・幼稚園での習い事の実態」について、園向けと保護者向けにアンケート調査を実施した結果を発表した。全体の73.2%の園が保育中にプロ外部講師や専門家による活動を実施しており、保護者の72.0%が「園での習い事は園選びのポイントになる」と回答するなど、園内習い事が一般化している実態が明らかになった。
調査は、総合保育テックサービス「はいチーズ!」を提供する千が実施。2018年の保育指針改正により、保育所も「幼児教育を行う施設」として位置付けられ、現場での教育的側面への期待が高まっている背景がある。また、女性の社会進出にともなう共働き世帯の増加により、放課後の習い事への送迎や月謝が家庭の大きな負担となっている現状を受け、保育中における習い事の実施状況を可視化することを目的として調査を行った。
園向け調査の結果、全体の73.2%の園が保育中にプロ外部講師や専門家による活動を実施していることがわかった。施設種別で見ても、保育園において7割以上が実施しており、習い事的な活動は多くの園で一般化している。実施内容は「体操・リトミック」と「英語・英会話」が突出しており、身体的・言語的な成長を促す活動が保育目標と親和性が高いと推測される。
保護者向け調査では、園で習い事を実施するメリットとして、保護者の7割以上が「送迎時間の短縮(73.6%)」と「慣れている先生やお友達と一緒に活動できる安心感(72.1%)」をあげた。平日の夕方に習い事へ連れて行く時間を確保できない家庭や、初めての習い事に不安を感じる子供にとって、園内で完結する環境は心理的・物理的なハードルを大きく下げている。
共働き世帯にとって平日の習い事送迎は物理的に困難なケースが多く「園内で完結すること」が教育機会を確保する鍵となっている。また初めての習い事でも、日ごろから信頼関係のある先生や友達がそばにいる環境が子供の意欲を引き出す大きな要因となっていることがうかがえる。
今後、園で追加してほしい習い事として「音楽(ピアノ・歌)」「学習(計算・漢字・英語)」「スイミング」が上位にあがった。これらは家庭で教えることが難しかったり、個別に通うには土日の貴重な時間を費やす必要がある習い事である。保護者は、保育時間を単なる「預かり」の時間としてだけでなく、プロの指導による「質の高い教育機会」を得る時間として期待していることがうかがえる。
園を選ぶ際、保育中に実施される習い事がポイントになるかという問いに対し「そう思う(32.3%)」「やや そう思う(39.7%)」とあわせて72.0%の保護者が肯定的に回答した。かつて園選びの基準は「自宅からの距離」や「保育時間」といった利便性がおもな理由としてあげられていたが、現在は「園でどのような体験ができるか」という教育内容の充実度も園を決定する際の重要な判断基準となっていることがわかる。
特に園ごとの特色が出やすい習い事プログラムは、他園との差別化における強力な要素となっていると推測される。
調査結果から、園側の73.2%が外部講師を活用した活動を取り入れており、また保護者側も「園内での習い事」を園選びのきわめて重要な指標(72.0%)として捉えている実態が明らかとなった。
園内での習い事は、保護者にとって「送迎の負担解消(73.6%)」という利便性に加え、「慣れ親しんだ先生や友達と一緒に取り組める安心感(72.1%)」という心理的な価値も同時に提供しており、共働き世帯が増加する現代の子育て環境において、教育機会を支える重要な役割を果たし始めている。
こうした背景から、園内習い事は単なる付加サービスではなく、家庭では補いきれない専門的な学びを、日常の保育の中で無理なく提供できる「育児・教育インフラ」として位置付けられつつあると考えられる。また、保護者の高い関心は、園にとっても教育方針や特色を明確に打ち出す手段となり、他園との差別化や「選ばれる園」づくりにつながっている可能性を示唆している。
今後は「音楽」や「スイミング」といった、家庭や個人では対応が難しい専門性の高い体験を園に求める声がさらに強まることが予想される。園の役割は従来の「預かりの場」としての役割にとどまらず、子供の可能性を広げる質の高い教育機会の提供する場へと広がりつつあり、保護者と園双方の期待をどのように形にしていくかが今後の保育・幼児教育における重要なテーマとなりそうだ。













