教育業界ニュース

熊本大、九大・九工大と半導体人材育成へ…研究教育拠点も本格稼働

 熊本大学は2025年12月10日、九州大学や九州工業大学など九州地区の大学が連携し、高度な半導体分野の人材育成に取り組むことを明らかにした。九州地区全域で連携し、九州・沖縄の半導体産業をけん引する人材を育成する。

教育行政 その他
熊本大学、半導体・デジタル研究&教育拠点が本格稼働
  • 熊本大学、半導体・デジタル研究&教育拠点が本格稼働
  • SOIL棟クリーンルームに導入予定の装置
  • SOIL棟クリーンルーム内で想定される技術開発
  • 学部生・高専生の半導体プロセス実習拠点
  • 文部科学省の「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」

 熊本大学は2025年12月10日、九州大学や九州工業大学など九州地区の大学が連携し、高度な半導体分野の人材育成に取り組むことを明らかにした。九州地区全域で連携し、九州・沖縄の半導体産業をけん引する人材を育成する。

 国家の競争力ともいわれる半導体分野において、最大の課題の1つが人材の確保と育成だ。AIや電気自動車(EV)、データセンターなど半導体需要は急拡大している一方で、高度な専門性をもつ技術者は国内外で不足しており、各国が人材獲得を競っている。

 九州地区では、2021年に半導体受託生産の最大手「台湾TSMC社」や、「ソニーセミコンダクター社」の熊本進出を機に、半導体産業が大きく動き始めた。熊本県菊陽町に設立された製造拠点では、TSMCを主体とする合弁会社JASMの第1工場が建設され、2024年末に量産を開始したことなどから、地域の産業集積が進んでいる。

 一方、半導体分野の人材育成を担う熊本大学は、九州地区でこの分野の人材輩出数がもっとも多く、就職者数は2016年の25人から2020年には65人へと大幅に増加した。2018年には、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(SCK)との共同研究講座も設置。2028年度以降は、毎年100人を超える人材を半導体関連企業に輩出することを目標に掲げている。

 こうした取組みが評価され、同大は九州大学や九州工業大学とともに、文部科学省の「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に認定された。同事業の枠組みのもと、九州大学は、運営拠点校である東京科学大学と連携し、回路からアーキテクチャ、応用までを俯瞰的に学べる教育スキームを構築。九州工業大学は、九州管内の国立大学(理系)と連携し、MOS集積回路の試作が可能な実習施設を整備する。

 熊本大学では、黒髪南キャンパスに半導体・デジタル研究&教育拠点「SOIL」と「D-Square」がオープンし、10月から本格稼働が始まっている。今後も、九州地区の大学や半導体コンソーシアムと密接に連携し、人材育成とともに、大学における研究力と社会実装力の強化も図っていくとしている。

《川端珠紀》

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top