文部科学省の松本洋平大臣は2025年12月2日の会見で、毎年公表している「大学進学率」の算出方法について、特別支援学校中学部の卒業生が長年対象から除外されていた問題を受け、「必ずしも適切ではなかった」と、早急に見直しを図るよう指示したことを明らかにした。18歳人口の範囲についても変更を検討するとしている。
学校基本調査の項目の1つである大学進学率は、大学進学者数を「18歳人口」で割って算出されるが、母数となる「18歳人口」に毎年約1万人いる特別支援学校中学部の卒業生が含まれていなかったことが判明した。遅くとも1999年からは除外されていたとし、大臣は「当時の経緯は不明だが適切ではなかった」と述べ、18歳人口の範囲の再検討を含めて算出方法を全面的に見直す考えを示した。また、今回の扱いによって不快な思いを抱いた卒業生に対し、「お詫び申し上げたい」と謝意を述べた。文科省は、学校基本調査の改善に取り組み、統計の正確性確保に努める方針。
会見では、研究力強化に向けた基盤的経費の拡充についても言及があった。政府の総合科学技術・イノベーション会議における総理指示を受け、松本大臣は「最優先で取り組む課題」と位置付け、国立大学への運営費交付金の確保や若手研究者支援を継続的に推進する姿勢を示した。すでに2025年度補正予算案には、国立大学法人運営費交付金421億円や若手研究者支援433億円が盛り込まれており、第7期科学技術イノベーション基本計画でも拡充を図る方針だという。
そのほか、AI検索サービスが新聞記事を無断利用していると指摘されている問題について問われると、大臣は文化庁が示す「AIと著作権の考え方」に触れ、権利者の懸念に対応するため周知啓発に積極的に取り組んでいると紹介。文科省としても引き続き諸外国の動きも含めた情報の把握収集に努めるとした。また、北海道大学の入試日程と大規模コンサート開催が重なり、受験生の宿泊確保が懸念されている件については、大学・生協・自治体の連携に期待を寄せ、受験生へ「大学などの公表情報に注意し落ち着いて準備を」と呼びかけた。
会見冒頭では、ユネスコ無形文化遺産の新規提案候補として民俗芸能の「神楽」と「温泉文化」を選定したと公表。優先順位は、「神楽」「温泉文化」の順とし、ユネスコが登録を認めるかどうか判断するのは、「神楽」が2028年、「温泉文化」が2030年になる予定。文科省は、登録に向けて必要な準備に取り組むとともに、国内外の認知向上と保護継承の一層の推進を図るとした。







