ダイワボウ情報システム（DIS）は2025年11月11日、戸田市教育委員会およびインテルと産学官連携のもと、先進的なSTEAM教育のあり方を先行的に実証するための連携協定を締結したと発表した。この取組みの一環として、戸田市立戸田中学校に最新デジタル機材を備えた学びの拠点「STEAM CAMPUS」を開設し、次期学習指導要領で重要視される探究的な学びの実現を目指す。
デジタル社会の進展にともない、教育現場では、文系・理系の枠を超えて教科横断的に課題解決に取り組む能力の育成が急務となっている。現在、中央教育審議会で議論が進む次期学習指導要領では、生徒が自ら問いを立て探究する学びの基盤として、情報活用能力の重要性が一層高まっている。
今回の協定は、こうした背景のもと「新しいSTEAM教育環境の事例創出」を目指すものだ。ダイワボウ情報システム、戸田市教育委員会、インテルの3者は、生徒が自ら立てた問いやアイデアを、情報活用能力を駆使して素早く形にし、試行錯誤と協働を通じて探究を深める場としてのデジタル機器教育環境の実現を目指す。この実証研究は、単なる機材導入にとどまらず、探究的な学びの推進や情報活用能力の育成を学校全体に浸透させることを目的としている。
STEAM教育とは、科学（Science）・技術（Technology）・工学（Engineering）・芸術／リベラルアーツ（Arts）・数学（Mathematics）を統合し、探究的で創造性を育む教科横断型の学び。日本の教育が目指す探究的で主体的な学びの方向性を実現し、デジタル技術の活用を軸に、多様で複雑な社会課題を解決する資質・能力を育成する。地域や企業との連携による学びの環境整備も重要な要素とされている。
共同研究では、戸田市立戸田中学校を実証校として、おもに2つの取組みを推進する。
1つ目は、未来を創造する学びの拠点「STEAM CAMPUS」の開設だ。これは、学校キャンパス全体を創造性を育む教育環境として位置付けるもので、中核となるメディアルーム（Core Lab）に加え、理科室、木工室、美術室、音楽室といった特別教室にもハイエンドなSTEAM教育環境を導入した。これらを一体的な学習空間として再定義・構築することで、より専門的・横断的・創造的な学びを推進する。各教室には、ハイスペックPCやモニターのほか、3Dプリンター、デジタル顕微鏡、液晶ペンタブレット、音楽制作（DAW）機材、クロマキー合成が可能な動画配信システムなど、教科の特性に合わせた多様なデジタル機器やツールを整備。生徒が活用・応用し、アイデアを形にできる環境を提供する。
2つ目は、教員研修プログラムによる授業デザイン支援だ。ダイワボウ情報システムは、インテルのSTEAM教育向け授業フレームワーク「インテル Skills for Innovation（SFI）」を国内で初めて採用したオリジナルの教員研修プログラムを提供する。このプログラムは、探究的な学びに不可欠なプロジェクト型学習（PBL）の授業設計スキルを体系的に習得できるもので、教員研修の側面からも情報活用能力を基盤とした教科横断的な学びの実現を支援する。
ダイワボウ情報システムは、IT流通を支える国内最大級のディストリビューターとして、これまで全国の教育機関にICT機器導入を支援してきた。2022年度から2023年度にかけては、インテルとともに「STEAM Labプラットフォームの実証研究」を18校で展開した実績をもつ。同社は、ハードウェアの提供にとどまらず、ICT利活用や導入支援に向けた授業デザイン研修も提案しており、全国の販売パートナー網を生かし、最適なICT環境の導入・利活用促進に向けた提言活動を行っていくとしている。
