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教員免許の単位数見直し…教員養成の見直しへ論点整理案

 中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会は2025年9月1日、教員養成の見直しに向けた「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する論点整理(案)」を公表した。免許取得に必要な単位数の見直し、大学院で短期間に免許取得できる仕組みの創設などを盛り込んでいる。

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多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する論点整理(案)
  • 多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する論点整理(案)

 中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会は2025年9月1日、教員養成の見直しに向けた「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する論点整理(案)」を公表した。免許取得に必要な単位数の見直し、大学院で短期間に免許取得できる仕組みの創設などを盛り込んでいる。

 今回の論点整理案は、2024年12月に中央教育審議会に諮問された事項の「基本的な考え方」を踏まえ、今後さらに議論する必要がある論点について、方向性を示したもの。

 諮問で示されたのは、「社会の変化や学習指導要領の改訂等も見据えた教職課程のあり方」「教師の質を維持・向上させるための採用・研修のあり方」「多様な専門性や背景を有する社会人等が教職へ参入しやすくなるような制度のあり方」の3項目。

 「教職課程のあり方」では、現在の教員免許制度が担保している教師養成の質を落とすことなく、教師の質向上と量的確保の両立を目指す必要があると指摘。1人でも多くの優秀な者が教職を目指してくれるよう単位の見直しも含めた検討や、制度の見直しを通じて複数免許の取得を促進して専門性の向上を図る必要があるとしている。

 「採用・研修のあり方」では、教師が他職種と同じ市場で人材獲得競争をしている現実を前提にすれば、採用広報を教育委員会だけに委ねることには限界があり、国と地方が一体となった広報戦略が必要と強調。教員採用選考1次試験の共同実施により、負担軽減や経費削減などのメリットがあると提起している。

 「制度のあり方」では、社会人の教師入職を進めるため、多様な学部出身者や社会人経験者のための大学院段階における教職課程を考えていく必要があるとした。教員免許がない状態で大学院に入った場合、大学院の勉強をしながら学部で学士課程の教職の授業も履修しなければならないため、3年間程度の学修が必要になると課題をあげ、最短1年ほどの新しいプログラムを履修することで標準的なレベルの免許状を取得できる仕組みの創設を提言している。

 論点整理案の内容は今後、詳細をさらに議論し、2026年夏から秋ごろに答申としてまとめる予定。

《奥山直美》

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