文部科学省は2025年8月22日、学校設置者等に対し、学校施設におけるバリアフリー化の一層の推進について通知した。スロープ等による段差解消、バリアフリートイレ、エレベーターの設置について、2030年度末までの整備目標を定めている。
学校施設にあたっては、障害のある児童生徒が支障なく学校生活を送るとともに、災害時における避難所など地域のコミュニティの拠点としての役割も果たすことから、バリアフリー化を推進していくことが重要と考えられている。
文部科学省はこれまで公立小中学校等の学校設置者に対し、2025年度末までの整備目標を設定し、バリアフリー化の取組みを要請。また、2025年1月には「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」のもと、「学校施設のバリアフリー化の推進に関する検討部会」を設置し、2026年度以降の整備目標やバリアフリー化推進のための取組み等について検討を行ってきた。
今回、検討結果をとりまとめて「学校施設バリアフリー化推進指針」の改訂と、2030年度末までの5年間に着実に整備を行うための整備目標を策定。各学校設置者に、今回改訂した学校施設バリアフリー化推進指針を活用するとともに、バリアフリー化を着実かつ迅速に進めるよう通知した。
整備目標の将来像は、公立の小中学校等について、原則すべての学校施設において、車いす使用者用トイレ、スロープ等による段差解消、エレベーターの整備等のバリアフリー化がなされ、障害等の有無にかかわらず、誰もが支障なく学校生活を送ることができる環境が整備されていること。具体的には、2030年度末までに、スロープ等による段差解消をすべての学校に、バリアフリートイレを避難所に指定されているすべての学校に、エレベーターを要配慮児童生徒等が在籍するすべての学校に整備することを目指すとした。バリアフリートイレの設置対象は総学校数の約97%に相当する(2024年度調査時点)。
なお、各学校設置者の取組みを支援するため、2021年度よりバリアフリー化のための改修事業について、国庫補助率を1/3から1/2に引き上げており、公立小中学校等以外の学校種に活用可能な補助等も設定している。文部科学省では今後、自治体での取組みの横展開、アドバイザーの紹介・派遣等を行う学校施設のバリアフリー化に関するプラットフォームの構築等を行う予定。これらを活用するとともに、バリアフリー化への一層の取組みを呼びかけている。