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TOEICの不正受験、過去2年間で803人関与…スコア無効に

 国際ビジネスコミュニケーション協会は、2025年5月に発覚したTOEIC L&R公開テストの不正受験に関し、過去2年間で同様の不正行為の疑いが高い受験者が803人にのぼることを、7月7日に明らかにした。協会は同日、受験資格剥奪およびスコア無効化の処分を通知している。

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  • TOEIC L&R公開テスト 会員規約違反の受験者への対応【第一報】

 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は、2025年5月に発覚したTOEIC L&R公開テストの不正受験に関し、過去2年間で同様の不正行為の疑いが高い受験者が803人にのぼることを、7月7日に明らかにした。協会は同日、該当者全員に受験資格剥奪およびスコア無効化の処分を通知したと発表した。

 今回の不正受験事件は、5月18日のTOEIC L&R公開テストの開始前に、中国籍の男の不審な行動が発覚したことがきっかけとなり明るみに出た。のちに逮捕、起訴されたことを受け、IIBCは不正受験の事実を重く受け止めるとともに、捜査に協力。過去に不正に受験した、または不正受験に関与したとみなされるケースの実態調査にあたった。

 その結果、2023年5月21日から2025年6月22日までの2年間に実施されたTOEIC L&R公開テストにおいて、起訴された被告と同一または極めて類似する住所で申込みが行われたケースが803件にのぼることが確認されたという。

 IIBCは、当該受験者803人について極めて不正受験の疑いが高いと判断し、今後5年間にわたる受験資格の剥奪措置を通知したほか、会員サービスの停止および会員資格の取消しを行った。さらに、過去に取得したすべてのTOEICスコアを無効化するとともに、すでに申込済みであった今後の試験についても、すべて申込取消しの対象とした。所属する学校や企業などの団体に対しては、スコア無効化の状況を開示し、今回の不正行為に関する情報はTOEICの実施元であるETSや海外の試験実施国にも提供されることとなった。

 あわせて、不正行為の再発防止に向けた対策も強化。6月7日以降の公開テストでは、不正行為の禁止を呼びかけるポスター掲示や、試験開始前の注意喚起を行うとともに、6月22日以降のテストでは、受験者の電子機器をすべて電源オフとする確認手順を導入。加えて、9月13日以降には、受験要領を改訂し、ルールの厳格化を進める方針も示している。今後は、会場での電波検知機の設置、本人確認書類の見直し、デジタル認証付き受験票の導入といったシステム面での対策も検討されている。

 TOEIC L&R公開テストは、国内外の大学や企業、自治体などで英語力評価の指標として広く活用されており、公正性や信頼性の確保が極めて重要視されている。IIBCは、今回の不正行為によって信頼を損ねたことを深く受け止め、今後は監視体制の強化に加え、受験者への啓発活動やルール遵守の重要性を周知する取組みも強化する姿勢を示した。また、引き続き過去の不正行為についての調査を続行し、調査結果が判明次第、追加で公表するとしている。

《畑山望》

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