埼玉県の大野元裕知事は2025年7月1日、矢野和彦文部科学審議官へ「いわゆる高校無償化に伴う高校教育の持続可能な制度設計の検討等に係る要望」を手交した。高校教育への継続した支援と財源の確保のほか、学校部活動の地域クラブ活動への移行の環境整備、教職員定数の改善と柔軟な配置の促進など、7項目について支援と協力を求めた。
埼玉県は、多様化する教育へのニーズにより学校を取り巻く環境が大きく変化している中、現在の学校や教員、子供を取り巻く環境が直面している課題の解決に向けた取組みを継続するべく、国に支援と協力を求める要望書を提出した。
要望の内容は「高校生等への修学支援制度の充実およびいわゆる『高校無償化』にともなう高校教育の持続可能な制度設計の検討」「学校部活動の地域クラブ活動への移行の環境整備」「教職員定数の改善と柔軟な配置の促進」「教育職員における障害者雇用の推進」「特別支援学校の幼稚部・専攻科の教職員定数に係る法制度の整備」「遠隔授業における生徒数、教職員配置および学習評価方法の弾力化」「学校における働き方改革の推進のための教員業務支援員等の配置推進」の7項目。要望書では、それぞれの現状や課題を明らかにしたうえで、求める要望を記している。
このうち、高校生等への修学支援制度の充実と高校無償化にともなう持続可能な制度設計については、引き続き国の責任で就学支援金制度の財源を確保し、受給資格要件の緩和や補助対象費用の拡大などの拡充、生徒・保護者および都道府県の事務負担軽減を踏まえた見直しをするよう要望。いわゆる高校無償化では、私立高校が多く存在する都市部とそうでない地方部での地域格差拡大や、公立高校の維持のための財政負担の増加または縮小による生徒の選択肢への影響などを踏まえ、地域における高校教育の維持向上を図るため、国による新たな財政支援を含めた公立高校への抜本的な支援拡充を行うことを求めた。
学校部活動の地域クラブ活動への移行については、具体的なスケジュールや手順を示し、部活動改革の理念やこれからの地域クラブ活動のあり方について国民、生徒・保護者等の関係者に広く周知し、理解促進を図るよう要望。移行期にも生徒にとって望ましい活動環境が整備できるよう指導員の確保に係る財政支援の拡充や、経済的な理由による体験格差が生まれないよう参加費用に関する財政支援を図ることなどを求めた。
教職員定数の改善と柔軟な配置の促進については、通級指導や日本語指導、不登校やアレルギー対策など多様化・複雑化する教育課題にきめ細やかに対応するべく、教職員の定数算定基準の改善を進めるよう求めた。中学校35人学級の導入を確実に進めるための必要な財政措置を講じることなどもあわせて記載されている。
要望書の全文と要望内容に関する問合せ先など詳細は、埼玉県Webサイトの県政ニュースより確認できる。