文部科学省のあべ俊子大臣は2025年6月20日の会見で、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金において、4月に申請した約4.4万人の学生に支給の遅れが生じたことを明らかにした。同日までに約2.7万人の振込みが完了、6月25日までにはすべて解消する見込みとしている。
JASSOの奨学金では、2025年度から多子世帯を対象とした授業料等の無償化が始まった影響で申請数が大幅に増え、4月に申込みをした学生の一部に遅れが発生。本来は、6月11日に4~6月分が支給されるはずだったが、約4.4万人が受け取れなかった。
その後、6月20日までに約2.7万人への支給が完了、残りの学生に対しても6月25日までには支給見込み。あべ大臣は、学生が経済的な理由による進学や修学を諦めることがないよう支援する奨学金が遅れる事態は「あってはならないこと」とし、当面の生活費の工面が難しい学生などには個別の事情に寄り添った対応をするよう求めているとした。
研究者・教員の有期雇用が10年を超えれば無期雇用に転換できる「無期転換ルール」について、定年以外の理由で10年直前に労働契約を終了した研究者・教員が全国の国立大学で701人にのぼるとの一部報道については、「無期転換ルールの適用を免れる意図をもってして、いわゆる雇い止めを行うことは、労働契約法の趣旨に照らして望ましくない」との見解を述べた。文部科学省として、適切な対応を取るよう大学・研究機関等に求めており、研究者の流動性と安定的な研究環境の確保の両立を図ることによってわが国の研究力の向上に努めたいとした。
一方、6月16日開催の教育課程企画特別部会で議論された「余白の創出」に関連して、学校の新年度始業日や人事異動の内示時期の工夫事例については、秋までに行う予定の同部会の論点整理に向けて事例を整理し、2026年度の教育課程編成の検討に間に合うよう情報提供したい考えを示した。
また、新規採用の教師の着任校が直前にならないとわからないケースがあるとの指摘に対しては、「教師の配置は、任命権者である各教育委員会の権限と責任において判断されるもの。新規採用の教師の具体の学校配置にあたっては、地域の実情、学級数の変動、現職教師の配置状況なども考慮したうえで検討を行う必要があり、結果として3月中旬ごろに内示が行われる例もある」と理解を示した一方、「地域の実情等に応じながら、新規採用の教師の新たな門出に配慮した適切な人事管理を行うよう期待する」と語った。