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ハーバード留学生の受け入れ、教員や外部コーチの不適切指導…文科相5/27会見

 文部科学省のあべ俊子大臣は2025年5月27日、記者会見を行った。米国政府によるハーバード大学の留学生受け入れ停止措置をめぐり、日本国内の大学に留学生の受け入れを検討するよう依頼したことを明らかにした。日本学生支援機構には、米国留学に関する相談窓口を設置する。

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あべ俊子文部科学大臣記者会見(2025年5月27日)
  • あべ俊子文部科学大臣記者会見(2025年5月27日)

 文部科学省のあべ俊子大臣は2025年5月27日、記者会見を行った。米国政府によるハーバード大学の留学生受け入れ停止措置をめぐり、日本国内の大学に留学生の受け入れを検討するよう依頼したことを明らかにした。日本学生支援機構には、米国留学に関する相談窓口を設置する。

 米トランプ政権によるハーバード大学の留学生受け入れ資格停止措置をめぐっては、東京大学や京都大学がハーバード大学で学べない留学生を一時的に受け入れる方向で検討しているとされる。

 5月27日の会見であべ大臣は、ハーバード大学で現在、110名の日本人留学生と150名の日本人研究者が学修や研究活動に取り組んでおり、外務省と連携しながら留学生や研究者の具体的な影響、大学側の対応について米国政府等に情報提供を求めていると説明。米国の大学に在籍する留学生が学びを継続できるよう日本の大学への受け入れなど、国内の大学に対して可能な支援策の検討を依頼したことを明らかにした。

 ハーバード大学に限らず、アメリカは留学先として日本人学生をもっとも多く受け入れており、在学中や渡航予定の人から不安の声もあがっていることから、日本学生支援機構には米国留学に関する相談窓口を設置。日本学生支援機構の制度で現在支援中の渡米学生に不利益が生じないよう、留学計画の変更や奨学金継続などの対応も検討しているとした。

 今後に向けては「引き続き状況を注視しながら、意欲と才能のある若者たちの学びの継続の保障に向けて、関係機関と連携しながら全力で取り組んでまいりたい」と語った。

 教員の不適切指導に対しては「不登校や自殺のきっかけになる場合もあり、いかなる場合であっても決して許されないもの。依然として一部の教員が不適切な指導による処分を受けている実態があることは大変遺憾」と述べた。2022年に改訂した生徒指導提要で不適切指導の具体例を新たに示すとともに、いたずらに注意や過度な叱責を繰り返すことは児童生徒を精神的に追い詰めることにつながりかねないこと、指導後のフォローが重要であることなどを明記しており、内容の周知に努めていると説明。これらの取組みに加え、文部科学省職員を教育委員会の研修会に派遣するなど、学校現場における不適切な指導に対する理解促進に努める考えを示した。

 東京都葛飾区の区立中学校で女子ソフトボール部の外部コーチが、部員に暴言を繰り返していた問題については、「部活動の指導者による体罰ハラスメントは決して許されることではない」と発言。部活等の地域展開を進める中、暴力・暴言やハラスメントなどの不適切行為の防止を徹底して生徒が安全安心に活動に取り組める環境を構築することが不可欠だと強調し、「有識者会議の最終取りまとめを受けて今後制度を具体化する中において、不適切な行為を行ったものを指導に携わらせないことを徹底するための仕組み作りも行っていく」と語った。

《奥山直美》

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