日本損害保険協会は2025年3月18日、全国約5,000校の高校の公民科・家庭科教員を対象にした「高等学校におけるリスクや損害保険の教育に関する実態調査」の結果を発表した。損害保険に関する教育が「必要」または「ある程度必要」と回答した教員は89.0%に達し、2021年度の調査開始以降、4年連続で上昇していることがわかった。
「高等学校におけるリスクや損害保険の教育に関する実態調査」は、全国約5,000校の高等学校の公民科・家庭科教員を対象に2021年度から実施している。4回目となる今回は2024年12月~2025年1月に調査した。有効回答数は1,819件。
損害保険に関する教育が「必要」または「ある程度必要」と回答した教員は89.0%。2021年度の調査開始以降、4年連続で上昇している。損害保険に関する教育の必要性が広く認識されており、その割合も年々高まっている。
一方、「損害保険に関する教育を実施している」と回答した教員は34.9%にとどまり、必要性の認識と実施実態の間には54.1ポイントの乖離があることが明らかになった。この乖離は、教育現場における損害保険教育の実施が進んでいない現状を示している。
今後の損害保険に関する教育の実施に向けて重要だと考えられる取組みについては、「授業時間の確保」が59.9%、「副教材・ツールなどの充実」が46.0%、「教科書の記載内容の充実」が36.8%と、上位3つの項目が4年連続で同一であることが示された。これらの項目は、教育の実施に向けた具体的な課題として浮き彫りになっている。
2022年度および2023年度の調査結果と同様に、損害保険教育の必要性を認識しつつも、教育を実施できていない大きな要因として「授業時間が不足していること」が指摘されている。生活の中で直面するさまざまなリスクに対して、経済的な備えとしての損害保険の役割を理解することは、金融経済教育の観点から重要である。
高等学校の公民科・家庭科の学習指導要領では、民間保険を含めた金融経済教育を実施することが求められている。日本損害保険協会では、損害保険に関する教育の必要性を認識している教員が授業で損害保険を取り扱えるように、短時間で扱いやすい教育ツールの提供や役立つ情報の発信を行っている。