ベネッセi-キャリアが運営する「まなぶとはたらくをつなぐ研究所」は2024年12月20日、全国の大学を対象に「大学キャリアセンターの学生キャリア支援における調査2024」を実施し、その結果を発表した。調査によれば、大学のキャリア支援はおもに就活本番期である3、4年生に集中しているが、7割以上の大学が低学年期からの支援開始を理想としていることが明らかになった。
この調査は、全国の大学の就職・キャリア支援担当部門を対象に、2024年8月26日から9月13日までの期間にWebアンケート方式で実施され、有効回答数は277校にのぼる。
調査結果によると、キャリア支援の比重がもっとも大きい学年は3年生後期(97.8%)、ついで4年生前期(89.9%)であることがわかった。一方で、大学が理想とする支援開始時期は「1年生」(36.1%)、「2年生」(37.5%)、「3年生」(21.7%)と、低学年期からの支援を望む大学が多いことがうかがえる。
また、調査では73.6%の大学が2023年から2024年度にかけて新たな学生支援プログラムを実施していることが明らかになった。特に、キャリアセンターの職員数が20人以上の大学では、実施率が9割を超えている。これらのプログラムには、キャリア教育講座や業界・職種の研究イベントなどが含まれており、学生のキャリア実現に向けた積極的な取組みが進められている。
キャリアセンター運営においてもっとも重視される項目は「学生の就職先への満足度」(36.8%)であり、「就職数・率」(25.3%)を上回る結果となった。また、企業に自大学の学生を評価してもらいたい観点としては、「人柄や性格」(92.8%)がもっとも多くあげられ、ついで「志望企業への熱意」(70.0%)、「汎用的スキル」(66.4%)が続いた。これにより、大学は学生の資質や姿勢に加え、大学での学習成果として身に付けた汎用的スキルも評価してほしいと考えていることがわかる。
調査を実施した「まなぶとはたらくをつなぐ研究所」の小田桐一弘所長は、「今回の調査では、多くの大学が新たな取り組みを通じて、就活を取り巻く環境変化に対応していることがわかりました。学生のキャリア検討は低学年から開始することが理想と回答した大学は70%を超えている結果からも、環境変化に対する早期の動き出しや十分な自己・社会理解が重視されていると言えるでしょう」とコメントしている。
この調査結果は、大学が学生のキャリア支援において、より早期からの取り組みを重視し、学生の満足度を高めるための新たなプログラムの導入が進んでいることを示している。これにより、学生が自身のキャリアを主体的に考え、納得のいく就職活動を行うための環境が整いつつあることがうかがえる。