エン・ジャパンは2025年2月、茨城県において「ソーシャルインパクト採用プロジェクト」を開始する。茨城県はこのプロジェクトを通じて、多様な人材を教育現場に呼び込み、教育の質向上を目指す。エン・ジャパンの協力により、教員採用の新たな枠組みが導入される。
茨城県は中高一貫校の設置を全国に先駆けて推進し、2020年度から10校を開校。現在では公立の中高一貫校の数は全国最多を誇る。さらに、デジタル社会に必要なIT人材や最先端科学技術分野の技術者・研究者の育成を目指し、新しい学校の新設にも注力している。2023年度には全国初の公立IT専科高校「IT未来高等学校」と、県内初の科学技術科を持つ「つくばサイエンス高等学校」を開校するなど、さまざまな形で新たな教育のあり方を探究している。
2025年度からは、教員選考試験の1次試験において、教育法規や教育心理などの知識と理解を問う「教職専門」を廃止する。また、民間企業との併願者や教員への転職希望者を対象とした外部試験による選考枠を新設する。この改革は、従来の枠組みにとらわれず、多様なバックグラウンドを持つ人材を教育現場に迎え入れることで、子供たちに新たな学びの可能性を提供することを目指した全国初の試みだという。
茨城県はこれまでにも、エン・ジャパンを介して8名を校長として民間から採用するなど、多様な人材を積極的に登用してきた。民間出身者ならではの知見やネットワークを生かし、探究活動やデジタル学習で全国的な成果を上げている。また、留学プログラムや語学研修の充実、スポーツチーム・民間企業との連携を通じ、多様な学びの場を創出している。職員によるDX推進チームを設立するなど、組織改革も進行中である。
社会の急速な変化と予測困難な未来を生きる子供たちには、他者と協働しながら課題を解決する力や、変化に柔軟に適応する力が求められている。茨城県は今後もより多くの生徒に多様な教育を提供するため、エン・ジャパンの協力のもと、多様なバックグラウンドを持つ方を含めて、公立学校の教員の募集を行う。
選考については、第1次選考で「教職専門」を廃止し、外部試験「SPI3」による選考枠を新設する。出願期間は2025年2月25日から3月24日までで、いばらき電子申請・届出システムにて申請を受け付ける。一般選考の第1次試験は2025年5月11日に筆記試験(専門教科)を実施し、第2次試験は7月12日と13日に個人面接や模擬授業を行う。外部試験(SPI3)による選考は、基礎能力検査を4月21日から5月16日に実施し、結果通知は8月上旬ごろとなる。
茨城県教育委員会の教育長、柳橋常喜氏は「様々な変化への対応がより一層求められる社会を生きる子供たちには、他者と協働して課題を解決する力や、変化を前向きに受け止めしなやかに対応する力が求められています」と述べている。
エン・ジャパンSI採用推進室の中林辰馬氏は「教員不足という深刻な課題を解決するには、従来の選考プロセスを見直し、多様な人材が教育現場で活躍できる仕組みを構築することが必要不可欠です」とコメントしている。
今回のプロジェクトを通じて、茨城県とともに、未来を担う子供たちにより良い教育の機会を提供するだけでなく、教員という職業に新たな可能性を生み出していくことを目指すとしている。