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【クレーム対応Q&A】休み時間の全員遊びが苦痛

 近年、子供の体力やコミュニケーション能力の低下が指摘されています。そういった状況において、小学校でよく取り組まれるものが「休み時間の全員遊び」です。良い面もあるのですが、逆の面が出てしまうこともあります。

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 学校に寄せられるさまざまなクレームや相談。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第82回のテーマは「休み時間の全員遊びが苦痛」。

コロナの流行が子供の心や体に影響


 近年、子供の体力やコミュニケーション能力の低下が指摘されています。そういった状況において、小学校でよく取り組まれるものが「休み時間の全員遊び」です。良い面もあるのですが、逆の面が出てしまうこともあります。今回のテーマは「休み時間の全員遊びが苦痛」。

 新型コロナウイルスの流行以前から子供の体力の低下が指摘されていました。また、コミュニケーション能力の低下も同様です。ICT機器(スマホ、タブレット等)の活用が増えてきていることも関係していると思われます。そういった状況に加えて、コロナの流行は子供の心や体に影響を与えています。

 そういった状況において、小学校でよく取り組まれるものが「休み時間の全員遊び」です。1週間に1回または2回の頻度でクラスの子供が全員参加で休み時間に遊びに取り組むものです。子供が体を動かすことでの体力の向上やクラスのメンバーと関わることでコミュニケーション能力等を高めるというねらいがあります。研究によると「レクリエーション」や「学級遊び」は、WHOの健康の定義である「身体的」「精神的」「社会的」な面を満足させることが可能な優れた活動であるとされています。

 このように良い面がたくさんある「休み時間の全員遊び」ですが、問題点もあります。それは、「休み時間に半ば強制的に遊ぶ」ということです。休み時間は本来それぞれの子供が自由に過ごして良い時間です。読書をする子供、絵を描く子供、友達と語らう子供等、それぞれの子供が自分の好きなことをしていて良い時間です。もちろん、体を動かすことが好きな子供は校庭で元気に遊びます。

参加したくない子供に配慮を


 配慮が必要なことが「休み時間の全員遊び」をしたくないと思う子供の思いです。教師のねらい(体力やコミュニケーション能力の向上、クラスの団結等)は大切ですが、それを大事にしすぎて子供が学校に来たくなくなってしまうようでは問題です。これが体育の授業内の活動であれば、少し話が違います。体育を含めた授業はすべての子供が取り組む活動です。取り組む活動(レクリエーション等)は同じであっても「体育授業」と「休み時間の全員遊び」では、子供の感じ方が違ってきます。先ほども書いたように「本来は本を読みたい」「絵を描きたい」という思いがある子供にとっては、「休み時間の全員遊び」が楽しくない時間となってしまう可能性があります。

 保護者や子供自身から「休み時間の全員遊びが苦痛」という連絡(相談)を受けたら、教師としてはやり方の修正が求められるでしょう。「休み時間の全員遊び」の趣旨は良いのですが、それはすべての子供が楽しいと感じている(嫌がる子供がいない)という前提となります。苦痛を感じてしまう子供がいる状況では、参加を任意(希望者のみ)としたり、回数を減したりという対応になるでしょう。苦痛を感じている子供から話を聞きながら、対応を考えることとなります。特定の種目が嫌な場合もあります。遊びを企画する担当の子供(クラスの遊び係等)がいる場合もあります。そういった子供の思いを大事にしながら、バランスを考えながらの対応となるでしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。
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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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