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地域移行後の部活動、中学教員の半数超「担当したくない」

 全日本教職員連盟(全日教連)は2024年11月7日、「教職員の勤務環境に関する実態および意識調査2024」の結果を公表した。中学校で地域移行が行われた場合の部活動指導は、「担当したくない」という教員が53.5%にのぼった。部活動業務を「大いにやりがいをもって取り組んでいる」と回答した中学校教員は12%にとどまった。

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部活動地域移行が行われた場合、兼職兼業を希望し、引き続き部活動指導を担当するか(中学校の先生)
  • 部活動地域移行が行われた場合、兼職兼業を希望し、引き続き部活動指導を担当するか(中学校の先生)
  • 業務でおもに時間を割いているもの
  • 業務で精神的に負担を感じているもの
  • 前年度(2023年度途中)、学校内の教職員の休職・離職等の欠員により、業務量は増加したか
  • 部活動業務についての意欲(中学校の先生)
  • 部活動業務が原因で退職を検討したことはあるか(部活動担当者)

 全日本教職員連盟(全日教連)は2024年11月7日、「教職員の勤務環境に関する実態および意識調査2024」の結果を公表した。中学校で地域移行が行われた場合の部活動指導は、「担当したくない」という教員が53.5%にのぼった。部活動業務を「大いにやりがいをもって取り組んでいる」と回答した中学校教員は12%にとどまった。

 「教職員の勤務環境に関する実態および意識調査2024」は2024年6月30日~8月31日、小学校・中学校を中心に高校、特別支援学校、中等教育学校、義務教育学校、幼稚園の教職員を対象にインターネットを活用した個人アンケート回答方式で実施した。回答数は5,967人。

 おもに時間を割いている業務は、「校務分掌」66.8%がもっとも多く、「授業準備・教材研究」54.2%、「学級・学年事務」39.2%、「会議・打合せ」33.3%の順に多かった。前年度(2023年度)との比較では「保護者対応」「生徒指導」の割合が増加している。

 精神的に負担を感じる業務は、「保護者対応」62%、「生徒指導」34.1%、「職場の人間関係」23.4%が上位に並んだ。前年度(2023年度途中)、学校内の教職員の休職・離職等の欠員により業務量は増加したかとの問いには、「著しく増加した」16.2%、「多少増加した」31.8%と、回答者の半数近くが業務量の増加を感じていることがわかった。

 一方、中学校の教員を対象に部活動業務の意欲を尋ねた結果では、「大いにやりがいをもって取り組んでいる」は12%にとどまった。このほか、「子供の心身の成長のために取り組んでいる」30.7%、「意欲はあるが業務が多いため十分に取り組めない」19.5%、「可もなく不可もなく」15.4%、「意欲が低い(家庭の事情:育児)」11.4%など。

 部活動の地域移行が行われた場合、兼職兼業を希望し、引き続き部活動指導を担当するかとの問いには、53.5%が「担当をしたくない」と回答。「兼職兼業の制度がしっかりと整うならば担当したい」17.5%、「外部の指導者がいなければ担当する」13.9%、「生徒や保護者とのつながりを考えると担当する」6.2%、「率先して担当したい」4.9%など、「担当したくない」が「担当したい(する)」という回答を上回った。

 部活動担当者に対し、これまで部活動業務が原因で退職を検討した経験を質問したところ、「頻繁にある」6.6%、「多少ある」21.8%、「あまりない」29.7%、「まったくない」42%。「多少ある」「頻繁にある」をあわせた回答は、前年度から10ポイント以上も上昇した。全日教連は「時間的な拘束および精神的拘束があると感じる教師がいる現状は喫緊の課題。現在進められている土、日の部活動の地域移行および将来的な部活動完全地域移行に向けた環境の整備は待ったなしの状況」とコメントしている。

《奥山直美》

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