不登校児童生徒の欠席中の学習成果について、「成績に反映させるべき」「どちらかというと反映させるべき」と答えた教員が全体の68%だったことが、School Voice Projectが実施した調査から明らかになった。一方で、そのための作業が「とても大変だと思う」「まあ大変だと思う」と回答した教員も68%にのぼった。
文部科学省は2024年8月29日に、不登校児童生徒の適切な評価を促進し、誰1人取り残されない学びを一層推進するため「学校教育法施行規則」の一部を改正する省令と、不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を成績に反映する場合を定める告示を公布。文部科学大臣が定める要件のもと、「不登校中の児童生徒が欠席中に行った学習の成果を考慮できる」ことを法令上に明確化した。
School Voice Projectは、この「不登校児童生徒の成績・評価問題」について、全国の小中高校(一条校)の教職員を対象にインターネット調査を実施。調査期間は8月2日~26日。有効回答は50件。
不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を成績に反映させることについては、「反映させるべき」30%、「どちらかというと反映させるべき」38%と、全体の68%が賛成の意向を示した。
肯定的な意見の中には「反映させるべきだが難しい」という意見も多く見られ、消極的な回答の中には、学校だけが評価するシステムを変革するなど、より積極的な対応をするべきとの意見もあげられた。校種別では、中学校では72%が反映することに肯定的である一方、高校では半数以上の57%が反映することに消極的な回答を選択した。
反映させる業務が教員にとってどの程度大変か(難易度・負担度など)との質問では、「とても大変だと思う」36%、「まあ大変だと思う」32%と、全体の68%が負担感を懸念していることが判明。校種別では「とても大変だと思う」と答えた割合が、中学校39%、高校29%に比べ、小学校では43%と、より負担感を強く感じていることがわかる。
学校に来ている児童生徒の評価・成績と異なる基準になること(公平性の問題)については、「問題」だと考える人と「問題ではない」と考える人が同数となる結果に。もっとも多かったのは「それほど問題ではない」38%との意見だった。回答者の年代別でみると、20代では「問題」だと考える人がいなかったのに対し、50代では56%が「問題」だと答えるなど、世代間で捉え方に違いが見られた。
文科省の動きとは別に、高校受験の際に一定割合の「内申点不問枠(=当時の試験や面接などで受験に挑戦することができる枠)」を設けることで、不登校児童生徒の進路選択を保障しようと求める民間の動きもあるが、「内申点不問枠」については「賛成」「どちらかというと賛成」があわせて84%と、肯定的な意見が多くあがった。埼玉県ではすでに実施しているとの回答もあったという。
調査結果の全文は、School Voice Projectが運営するWebメディア「メガホン」で見ることができる。