学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第183回のテーマは「日本語が母国語ではないので補講などの援助を受けたい」。
外国につながる子供が増え、
特別な配慮が必要に
前回の宗教に関するテーマの時も話題にしましたが、日本に住む外国人、外国につながる人たちが増えてきています。この傾向は、今後も続いていくことが予想されます。そういった状況において、特別な配慮が必要になるケースが出てきます。
日本語が母国語でない子供が入学(転入)してきた場合、適切な対応を取ることでトラブルを防げる可能性が高まります。子供は柔軟性があるので、日本語の環境の中にいることで、少しずつ慣れていき、適応していくという考え方もあります。ただ、これまでも多くの人がつまずいているような事柄に関して、適切な配慮ができるのであれば、取り組んだ方が、子供にとっても、親にとっても、学校にとっても良いことだと思われます。私自身、小学校の担任をしている際、日本語がまったくできないロシア人の男児を受け持ったことがあります。約25年前で色々なフォローが整っていない中、悪戦苦闘しながら日々を過ごしていたことと覚えています。その当時、ロシア語を理解する人がその子供と私の間に入ってくれていたら、その子供にとっても、私にとっても状況が少し違っていたのではと想像します。
自治体によって取組み方に差異
学校における外国語へのケアについては、自治体によって取組み方に違いがあります。外国人が多い地域、規模の大きい自治体などは、しっかりとした仕組みができあがっていることも多いです。たとえば、神奈川県横浜市がそうです。学校に関する外国語訳の付いたガイドブックは、7か国語で対応しています。英語、中国語、韓国・朝鮮語、タガログ語、ベトナム語、ポルトガル語、スペイン語です。学校向けには「日本語指導が必要な児童生徒受入れの手引き」というものがあります。学校、保護者向けには「学校通知文・用語対訳集(7か国語対応)」、保護者向けに「保護者の方へ~横浜の学校生活~(7か国語で対応)」が用意されています。また、横浜市では日本語支援拠点施設「ひまわり」という施設もあります。帰国・来日間もない児童生徒が学校に速やかに適応できるよう集中的に日本語指導と学校生活の体験を行う施設となっています。横浜市は教育が育む力を「知」「徳」「体」「公」「開」と表現しています。「開」という言葉を使い、外の人の受け入れ、また横浜の子供たちが外へ向かっていくことを大切にしています。そういったことが先にあげた取組みにも表れているのでしょう。
外部の力を活用する
横浜市の例は、組織としてかなり力を入れて取り組まれているものです。多くの学校や自治体では、なかなか横浜市のレベルまで対応ができないと思います。市区町村レベルでは、対応が難しいものも、都道府県レベルであれば、対応ができるものもあります。これまで経験のないケース(レアな言語への対応など)は都道府県レベルであれば対応の経験がある可能性があります。また、以前と比べICTの技術が大きく発展しています。会話を通訳するアプリなどの精度も上がってきています。そういった機器を適切に使っていくことも学校や保護者の助けになることでしょう。今回のテーマだけではないのですが、学校が自分たちの力だけで何かをしていこうとするのではなく、さまざまな外部の力を活用しながら取り組んでいくことが必要なのだと思います。
本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。
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