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【相談対応Q&A】ランドセルでなく軽いカバンで通学したい

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第181回のテーマは「ランドセルでなく軽いカバンで通学したい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第181回のテーマは「ランドセルでなく軽いカバンで通学したい」。

軽いカバンでも問題はない

 日本の小学校ではランドセルでの通学が一般的です。良い部分があり、長く使われてきているのですが、時代に合わない部分があるのも事実です。そういったことを踏まえ、今回のテーマは「ランドセルでなく軽いカバンで通学したい」です。

 学校への通学カバンについては、小学校の場合「ランドセル」と指定していない学校がほとんどでしょう。学校によって表現は異なりますが「通学に適した丈夫なもの」などと書かれていると思われます。そういったことを踏まえると「軽いカバン」でも問題はないということになります。

日本で長く使われてきたランドセル、今や「ラン活」が加熱ぎみ

 ランドセルについて調べると日本で長く使われてきていることがわかります。きっかけは江戸末期の日本の軍隊で使われていたことのようです。ペリー来航の後、さまざまな西洋技術を取り入れていきました。軍事に関することも積極的に取り入れる中、オランダ軍が使用していた「ransel(ランセル)」というカバンが日本の軍隊で採用されたそうです。その後、1885年に内務卿だった伊藤博文が学校でのランドセルの使用を推奨したそうです。学習院での採用がきっかけとなり、使用が広がっていったとされています。

 現在は「ラン活」という言葉がある程、「ランドセル」は多くの人にとって関心の高い事柄です。「ラン活」について調べると学校との関わりにおける難しさが見えてきます。それは「購入時期」の問題です。多くの人が入学前のかなり早い時期にランドセルを購入しているそうです。特に人気のモデルは6月には売り切れてしまうことなどもあるそうです。1年前のタイミングは学校から入学予定者への連絡などは行なっていない段階です。学校側が「ランドセルでなく、軽いカバンでも構いません」というアナウンスをする前にランドセルを買ってしまっている家庭が多いと思われます。特に第一子の場合、学校からの情報が多くない中、「ランドセルが買えなくなるかも」などネットの情報などから春から夏の時期に購入することもあると思われます。祖父母から孫へお祝いを兼ねて購入するなどのケースもあり、革製の従来のランドセルを購入するということにもなっているのでしょう。

 ランドセルは明治期から形などが大きく変わっていません。革製で四角い箱型のものです。現在の学校はさまざまに変化をしています。たとえば、日々の学びでは一人一台のGIGA端末が当たり前に使われています。文科省はGIGA端末の家庭への持ち帰りを推奨しています。また、以前はランドセル以外の選択肢はほとんどありませんでした。現在はランドセルとは違う素材で作られた軽量のカバンなどもあり、そういったものを希望する家庭が増えるのは自然なことでしょう。

学校が取り組める対応は…

 学校が取り組むことができる対応としては学校ホームページに通年で情報を掲載していくことでしょう。秋から年度末にかけて、新入生向けのコーナーを作っている学校があります。そういったコーナーを常設にし、必要な情報を随時掲載していくというやり方です。今回のテーマであるランドセルに関することも、そういったコーナーに常に載せておくと良いでしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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