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相模原市、デジタル教科書と学習データの活用に関する共同研究成果を発表

 相模原市教育委員会と大日本印刷、光村図書出版などは2024年1月30日、相模原市教育委員会におけるデジタル教科書を活用した共同研究事業の研究成果を発表した。デジタル教科書を活用することで、児童生徒の主体的な活動と対話を行う活動時間の確保に繋がったという。

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2022年度 相模原市 国語学習者用デジタル教科書実証研究報告書
  • 2022年度 相模原市 国語学習者用デジタル教科書実証研究報告書
  • デジタル教科書に関するアンケート:.本文への書き込みやマイ黑板を利用し学習に取り組みやすくなった
  • デジタル教科書に関するアンケート:今後もデジタル教科書を使っていきたい

 相模原市教育委員会と大日本印刷、光村図書出版などは2024年1月30日、相模原市教育委員会におけるデジタル教科書を活用した共同研究事業の研究成果を発表した。デジタル教科書を活用することで、児童生徒の主体的な活動と対話を行う活動時間の確保に繋がったという。

 GIGAスクール構想により、1人1台のタブレット端末および学校の高速通信回線の整備が進む中、2024年度には「デジタル教科書」が本格導入される。これに先立ち、相模原市教育委員会、大日本印刷、ネットワンシステムズ、光村図書出版、放送大学学園は2022年4月から2023年3月、授業中のデジタル教科書の成果物やテスト結果などのデータを用いた、指導と評価に関する授業実践共同研究を実施。デジタル教科書を活用した授業方法を開発し、相模原市の小・中学校で実証を行った。

 研究では、実証授業前に教員と研究メンバーで指導案を検討し、児童生徒の主体的な活動時間や対話を行う活動時間の確保を意識した指導案を作成。授業中に学習者用デジタル教科書に書き込んだ内容や、「マイ黒板(本文抜き出し機能)」によって可視化した考えを基に話し合いを行った。また、中学生を対象に、学びを客観的に振り返ることができる「振り返りシート」を記入してもらい、毎時間の授業内容の記録や、単元の最後に授業全体の振り返りを実施した。

 その結果、黒板の内容をノートに書き取る時間が減ることで、授業中の児童生徒の思考時間が増加したことが明らかになった。考えをデジタル教科書や授業支援ツール上で整理することで時間が生まれ、お互いの意見を交流させる活動が活性化したという。

 また、デジタル教科書や「マイ黒板」への書き込みがデジタルデータとして残ることで、個人の学びの過程が可視化。書き込みや「振り返りシート」をデータとして蓄積することは、児童生徒が自ら学習を分析し、自己調整する能力の育成につながると考えられるという。

 実際に、実証授業に参加した中学生からのデジタル教科書への評価は高く、87%の生徒が「学習に取り組みやすくなった」と回答。77%が「今後もデジタル教科書を使っていきたい」と答えた。

 相模原市教育委員会は、今回の研究により、先生の授業改善に向かう意識が大きく変化し、児童生徒の学びに向かう姿、思考や表現が活性化した姿が見られたことが大きな成果の1つであると評価。今後も教育活動全般における教育データの利活用について、さらなる検討を進めていくという。

《木村 薫》

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