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【相談対応Q&A】連休明け学校に行きたくない

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第177回のテーマは「連休明け学校に行きたくない」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第177回のテーマは「連休明け学校に行きたくない」。

 以前も5月病の記事を書きました。その記事では、子供との関わりについて扱っています。今回はその記事とは少し違った視点で、教師自身のことについて書きたいと思います。

教師の心身の状態が重要

 4月は新しい環境になる人も多く、変化などがストレスとなり、自律神経の乱れから、頭痛、めまい、倦怠感、不眠などを訴える人が多くなるそうです。4月は学校や会社などの環境の変化に加え、天候の変化も激しく、そういったことが体へ負荷を掛けてしまっている状態です。気分が高まりがちでもあり、オーバーワークになりやすくもあります。そういった無理をしながらの4月を乗り切り、ホッとした連休の後に学校や会社などに足が向かなくなってしまうこと子供にも、大人にもあります。

 「5月病」は医師の診断を受けると「適応障害」と説明されることが多いです。症状は「うつ病」と似ていますが、「うつ病」は原因不明のストレスによって発症します。「5月病」の場合、ストレスの原因がわかることが多いです。それ(または、それら)の解消のための方策を考えることが大切です。また、「5月病」は真面目な性格の人がなりやすい傾向にあります。きちんとやらなければという思いが悪い形で出てしまったものです。簡単なことではないのですが「まあ、いいか」と思うようにすることも大事でしょう。

 ところで、クラスにおける連休明けのさまざまな問題(子供の登校渋り、ルールの不徹底など)への対処において「教師の心身の状態」がとても重要であると私は考えています。「どの子の信頼も勝ち取る!まずは人気の先生になろう!(飯村友和著)」では、いつでも機嫌のよい先生になることの大切さが書かれています。「子どもの心をひきつける学級経営の技術60(三田美乃里著)」では、授業の技術の大前提として教師の笑顔の力が必要だと書いています。「教室に安心感をつくる(赤坂真二著)」では、学級が安心基地になることが望ましく、その反対の状況(危険な状況)では子供は傷つけられる恐れを感じ、行動が防衛的になると書いています。このように数多の本などで、教師の心身のコンディションの大切さについて述べられています。

 4月に新年度が始まり、子供同様、教師も精神的に気を張った日々を過ごしています。ゴールデンウィーク(GW)は、教師にとっても一休み、息抜きの大切な時間です。その際に子供と同様に教師の生活リズムも崩れやすいです。そういったことがGW明けの学級経営に大きく影響を与える可能性があります。リフレッシュは大事なのですが、それによって生活リズムが乱れ、GW明けの初日に寝不足や疲れが残った状態で勤務するようなことは避けたいです。

 先ほども書いたようにGW明けは心身共に乱れ気味の子供が多いです。そういった問題を抱えている子供の対応する際、教師はできるだけ万全の状況でありたいです。私自身、小学校の教員のころ、学期末などで仕事が立て込み、寝不足の際、「今日は寝不足だから、つい怒りやすいので気をつけるぞ」と何度も心の中で唱えていました。小さなことでつい怒ってしまいそうだったからです。

 子供に関するさまざまなトラブルの発生には原因があります。子供や親に原因があるものもあります。しかし、そういったトラブルの中には教師(学校)に原因があるものもあると私は感じています。GW明けなどの状況で教師の心身の状態に何らかの問題があれば、そういったトラブルを発生させる可能性は高まります。教師の仕事は基本的には1年間の長期戦です。心身を良好な状態で維持することが大切です。GWは教師がリラックスもできますが、調子を崩しやすい時期でもあります。皆さんにとって良い休みとなることを心から願っています。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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