行きたくない原因を探る
夏休みをはじめとした長期休業明けは子供が学校への不適応を起こしやすい時期です。子供が自殺をしてしまった時期の調査では8月末から9月上旬は自殺件数がもっとも多くなっています。そういったことを踏まえ、この時期の保護者からの相談などは丁寧に、適切に対応をしていきたいです。
「学校に行きたがらない」という内容は、長期休業明けだけでなく、どの時期であっても親にとっては頭の痛い問題です。もちろん「学校大好き」「勉強大好き」「先生大好き」「友達大好き」という子供もいますが、それがすべてではないでしょう。仮に「学校に行っても行かなくても良い」という条件にしたら、果たしてどれだけの子供が学校に行くのでしょうか?あまり多くないのではと私は想像します。
「学校に行きたがらない」という問題において、まずすべきことは、何が「原因」であるのかを探ることです。原因がはっきりすれば、それに対応することで問題が解決できることが多いです。たとえば、夏休みの宿題が終わっていないことが原因で、学校に行きたくない場合などです。原因(このケースでは宿題ができていない)がわかることで、それに対応する(宿題を終えられる方法を考えるなど)ことで、問題解決に繋がることが多いです。
原因が1つとは限らない
ただ、原因が明確であり、何らかの対応をすることで、すぐに問題が解決してしまうようなケースだけではありません。子供が学校に行きたくないという精神状況の場合、その原因は1つではなく、いくつものことが関連していることが多いです。そういった場合も、丁寧にその原因を探り、対応できるところから対応していくことが大切です。
この記事を書いている時点(2021年8月下旬)では、新型コロナウイルスが各地で大きな流行となっています。子供が感じる不安は、長期休業明けの通常の不安だけでなく、新型コロナウイルスへの不安もあると思われます。新規感染者が増えているような状況では、不安を抱き、学校に行きたがらない子供が出てくる可能性があります。これは地域の流行状況や新たな医療の知見などを確認しながら、取り組んでいくことが望まれます。
学校が始まる1週間くらい前に知らせを送る
長期休業明けのトラブル(学校に行きたくないなど)を減らすには前もって対応することが有効です。私が小学校の教員の時に夏休みが終わる前にやっていたことは、学校が始まる1週間くらい前に残暑見舞いの葉書を送ることです。「もうすぐ学校が始まります。元気な顔を見ることを楽しみにしています。」という内容の葉書でした。電話でもメールでも良いかも知れません。GIGAスクール構想での1人1台末端を家庭に持ち帰っている場合は、もっと違う方法も考えられます。何らかの知らせを送ることは、子供に対して良い刺激になります。宿題を終えていない子供は、焦り出すかもしれません。夜更かしなどをして生活リズムが乱れている子供は、次の日の朝から早起きをしようとして、早く寝るようになるかもしれません。教師からの知らせが、学校再開への壁を低くすることにつながることが多いです。
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【シリーズ名変更のお知らせ】「クレーム対応Q&A」シリーズにおきまして、長期連載する中で、クレームではない保護者からの相談についても、このシリーズ内でご紹介してまいりました。特に悩みを抱える保護者からの相談につきまして「クレーム」という表現は相応しくなく、シリーズ名を「クレーム対応Q&A」「相談対応Q&A」と分けることにいたしました。ご意見をいただいた読者の方に感謝申し上げるとともに、ご不快に思われた方々にお詫びを申し上げます。