Excelの中級クラスの関数「VLOOKUP」が使えない大学教員が7割にのぼることが2024年3月5日、WHITEのDX人材育成サービスMENTERの調査結果から明らかとなった。一方、PowerPointとWordの習熟度は比較的高く、日常的に触れる機会が多いようだ。
ITリテラシー実態調査は2024年1月17日~21日の期間、大学教員を対象にインターネットリサーチ(調査機関Fastask)で実施。有効回答数は432件。
MENTERの調査によると、PCの保有状況は「私用で購入したPC」79.2%、「学校支給のPC」60.4%で、大学現場におけるPC支給率はそれほど高くないことがわかった。続いて、基本スキルであるタッチタイピングは、「できる」35.0%、「まあまあできる」32.6%と、6割近くがある程度習熟している結果となった。一方、「まったくできない」との回答も1割弱みうけられた。
Excelの中級クラスの関数については、約3割が「使いこなせるものはない」29.6%と回答。もっとも苦手な関数は「CONCATENATE(結合)」で習熟率22.5%、ついで「VLOOKUP」で習熟率27.5%。この結果からMENTERは、中級クラスの関数が使いこなせないことによる業務効率の低下が想定できると分析している。
一方、Wordは「使いこなせるものはない」がわずか5.3%にとどまり、一般的な機能は使用できていることが明らかになった。特に「印刷設定」91.7%、「ページ設定」87.0%、「表の挿入と編集」86.6%は習熟度が高かった。加えて、PowerPointも「できる」42.1%、「まあまあできる」39.6%と習熟度が高く、両ソフトが日常的なツールであることがわかった。
また、コロナ禍において一般的になったZoomやmeetなどのWeb会議システムの習熟度を尋ねた設問では、「できる」40.5%、「まあまあできる」44.2%とあわせて8割以上ができると回答。対して、SlackやTeamsといったビジネスで浸透しているチャットツールに関しては、「できる」21.5%、「まあまあできる」34.7%と、そのほかのITリテラシー・スキルと比較して習熟度が低い傾向が見られた。
ショートカットキーの認知率は、「Ctrl+C」82.4%がもっとも高く、ついで「Ctrl+V」77.3%、「Ctrl+A」63.7%、「Ctrl+P」63.4%。提示した8種類のショートカット‐キーを「いずれも知らない」と回答した人は12%であった。
セキュリティ対策については、1位「ウイルス対策ソフトのインストール」75.7%、2位「OSの定期アップデート」70.4%、3位「フリーWi-Fiを避ける」57.9%で、「複雑な組み合わせのパスワードを設定」するなど、パスワード関連の対策は半分の人が何もしていないことが明らかとなった。
最後に、業務用PCがウイルス感染した際の正しい初動と思うものを選んでもらったところ、「LANケーブルを抜く&Wi-Fiを切断する」49.8%と半数近くが正しい行動を理解している一方で、半数は間違った認識をしている結果となった。特に間違った初動として「情報システム部門に相談する」31.9%との回答がもっとも多かったという。
WHITE代表取締役 横山隆氏は、調査結果を受けて、大学の業務用PC支給率が低い点が重要な課題であるとコメント。またVLOOKUPの件については、「関数を使いこなすことで分析・管理業務もスムーズに実現し、8時間かかっていた作業が10分になる、なんてこともありえる。業務の効率化にはまだまだ大きな伸びしろが残っているように感じた」と分析している。