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能登半島地震で被災した児童生徒の「受け入れQ&A」文科省

 文部科学省は2024年1月12日、2024年能登半島地震により被災した児童生徒などの公立学校への弾力的な受け入れに関するQ&Aとフローチャートを作成し、各都道府県教育委員会などに通知した。就学機会を確保するため、受け入れの際は速やかに検討することを求めている。

教育行政 文部科学省
被災した児童生徒から公立義務教育諸学校での受入れ希望があった場合の手続きフローチャート
  • 被災した児童生徒から公立義務教育諸学校での受入れ希望があった場合の手続きフローチャート
  • 令和6年(2024年)能登半島地震について

 文部科学省は2024年1月12日、2024年能登半島地震により被災した児童生徒などの公立学校への弾力的な受け入れに関するQ&Aとフローチャートを作成し、各都道府県教育委員会などに通知した。就学機会を確保するため、受け入れの際は速やかに検討することを求めている。

 文部科学省は、「2024年(令和6年)能登半島地震における被災地域の児童生徒等の安全確保等について(通知)」(2024年1月4日付)および「令和6年能登半島地震における被災地域の児童生徒等の就学機会の確保等について(通知)」(1月7日付)のうち、おもに被災した児童生徒などの公立学校への弾力的な受け入れについて、各教育委員会などから問い合わせがあった内容をもとにQ&Aとフローチャートを作成した。

 Q&Aでは10の質問に回答している。「域内の公立学校への受け入れの希望があった場合の『弾力的に取り扱い』とは、たとええば、どのようなものが考えられるか」については、市町村教育委員会などの判断で簡素化できる手続きについては簡素化するなどが考えられると回答。その際、必ず児童生徒などの在籍関係(受け入れ先の学校に在籍とするか、元の学校に在籍したままとするか)を明確にしたうえで受け入れ、児童生徒などの不利益にならないよう配慮を促している。これにより、その後、各学校において指導要録に記入する際にも、より円滑に行うことができるものと考えられるという。

 「被災者が、子供の避難先である当市の小学校への就学を決めるに当たって、正式に転学するのか、事実上の就学とするのかを判断する材料としてどういった情報の提供が考えられるか」については、被災地域での学校の開校状況は、避難先で子供が正式に転学するのか、被災地の学校に籍を置いたまま事実上就学するのかを決定するに当たって、ひとつの判断材料となると考えられる。各教育委員会は、こうした情報も提供してもらいながら、被災者の希望を十分に踏まえ、柔軟に対応してもらいたいとしている。なお、石川県の公立学校が始業しているかどうかについては、石川県のWebサイトで確認できる。

 「被災児童生徒が住民票を異動しないまま、転入学させることは可能か」については、学齢児童生徒は、住民基本台帳に基づいて学齢簿を編製することになっているが、震災による被害に伴い、ただちに住民票の異動の手続きができないなどの事情がある場合には、各市町村の住民基本台帳担当部署と連携のうえ、復興が進み、態勢が整ってから異動の手続きをとるなど、適切に対応することが望ましいとしている。また、市町村の区域内に転住してきた学齢児童生徒を学齢簿に記載したときには、当該教育委員会は、その旨を速やかに前住所地の教育委員会に通知する。

 そのほか、「被災したA県の高等学校等に合格したが、他県に転出し、転出先の都道府県における高等学校等への入学を希望している者については、どのように取り扱うことが適切か」については、本人の事情などを勘案しながら柔軟な対応を求めている。その際、転学に必要な書類が揃わなければ手続きが進まないなどといったことにならないよう弾力的に対応し、生徒本人が入学を希望する場合には、たとえば、学力検査は行わず、面接などにより決定するなどの配慮を促している。

 また、被災した児童生徒から公立義務教育諸学校での受け入れ希望があった場合の手続きフローチャートでは、被災した児童生徒などの就学機会の確保の観点から、可能な限り弾力的に取り扱い、速やかに受け入れの検討を行うことが望ましいとし、住民票を異動している場合・していない場合ごとに、手続きをわかりやすくまとめている。

《田中志実》

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