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日米中韓「高校生の職業意識」比較…体験の少なさ顕著に

 日本の高校生は、進路に関わる活動への関心が高く学習意欲もあるものの、実際の職業体験の機会が他国に比べ少ないことが、国立青少年教育振興機構 青少年教育研究センターが2023年6月22日に公表した調査結果から明らかになった。

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将来の生き方や進路についての学習について
  • 将来の生き方や進路についての学習について
  • 将来の生き方や進路にかかわる活動への関心について
  • 将来の生き方や進路にかかわる活動への取組みについて
  • 「仕事」「働くこと」のイメージ
  • 職業を選ぶにあたって重視すること
  • 仕事や生活に関する意識
  • いまの生活の満足度/自分の将来に対する不安感

 日本の高校生は、進路に関わる活動への関心が高く学習意欲もあるものの、実際の職業体験の機会が他国に比べ少ないことが、国立青少年教育振興機構 青少年教育研究センターが2023年6月22日に公表した調査結果から明らかになった。

 青少年教育研究センターは、2022年9月~2023年2月にかけて、日本・米国・中国・韓国の高校生を対象とした進路と職業意識に関する国際比較調査を実施。今回、「高校生の進路と職業意識に関する調査ー日本・米国・中国・韓国の比較ー」として調査結果を公表した。有効回答数は、日本が28校4,822人、米国が13校1,874人、中国が24校3,772人、韓国が34校1,814人。

 調査結果をみると、日本の高校生は進路に関わる活動への関心が高く、学習も行われているものの実際の体験が少ない。「職業の種類や内容」「進路選択の方法」を「学習したことがある」割合は8割強と、米中韓を大きく上回っているが、「職場の見学」「就業体験(インターンシップ)」「ボランティア活動」と実際に「取組みをしている」割合はいずれも約1割と、米中韓と比べて低い割合にとどまっている。

 「仕事」「働くこと」に対しては、「生活のため」「社会人としての義務」というイメ ージを持っている割合が米中韓に比べて著しく高く、「楽しい」というイメージを持っている割合がもっとも低い。

 職業選択にあたって重視することについて、日本の高校生は「仕事の環境」「安定性」「自分の興味や好みにあっている」が「とても重要」だと回答した割合が4か国の中でもっとも高い。また、10年前と比較すると、「収入」「仕事の環境」「勤務先の福利厚生」が「とても重要」と回答した割合が高くなっており、特に福利厚生を重視する割合は31.3ポイントも上昇している。

 仕事や生活に関する意識については、日本の高校生は10年前と比較して「暮らしていける収入があればのんびりと暮らしていきたい」「仕事よりも、自分の趣味や自由な時間を大切にしたい」と考えている割合が上昇。「暮らしていける収入があればのんびりと暮らしていきたい」について「とてもそう思う」と回答した割合は49.4%と4か国の中でもっとも高く、反対に「できるだけ高い地位に就きたい」「自分の会社や店を作りたい」「望む仕事につけなくても、がまんして働くべきだ」との回答は米中韓に比べて著しく低い結果となった。

 いまの生活の満足度については、日本の高校生の84%以上が「満足している(とてもそう思う+まあそう思う)」と回答。一方で、「自分の将来に不安を感じている(よくあてはまる+まああてはまる)」 との回答も約80%と4か国で最多に。2014年、2018年、2021年の過去調査と比較すると、年々割合が高くなっていることがわかった。

 全文158ページにのぼる調査報告書は、国立青少年教育振興機構のWebサイトに掲載。調査研究報告書検索などから見ることができる。

《畑山望》

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