沖縄県は2023年2月9日、慢性的な薬剤師不足の抜本的改善を目指し、県内国公立大学への薬学部設置を早期に実現するための基本的方針を策定した。今後、2023年内に実現可能性のある構想1件を選定し、大学設置者と協定を締結、2028年度の開学を目指す。
現在、沖縄県では薬学部(科)を有する大学がなく、厚生労働省の2020年調査では人口10万人あたりの薬剤師数は全国最下位の148.3人(全国平均198.6人)となる等、慢性的な薬剤師不足の状況が続いている。
そこで、沖縄県内の国公立大学に薬学部を新設し、薬剤師不足に歯止めをかける狙い。また、薬剤師不足の解消のみならず、県地域医療の向上、理系人材の県外流出の抑制、民間企業との連携等により、新たな産業の創出等にも期待を寄せている。
薬学部の入学定員は、80名程度を想定。県内の新産業創出への貢献、教育環境や実習受入先の確保、グローバル人材の育成、地域交流等を条件に選定する。設置にあたっては、沖縄県が「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画」に基づき、必要な人的・技術的協力、国への要望等、薬学部設置のために必要な支援を行う。施設整備については、既存の施設整備に係る補助金等の活用検討を前提とし、県は必要かつ最小限度の財政支援を行う。
「薬学部設置に向けたロードマップ」によると、大学設置者の選定は、新設の趣旨や留意点等の条件をもとに2023年内に1件を採択。2024年以降、基本設計・実施設計、文化財調査、建設工事等の工程を経て、2028年4月の開学を目指す。