学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第113回のテーマは「子供が学校に行きたがらず困っている」。
冬休み明けは学校へ行く
ハードルが上がる
冬休み明けの時期は子供が学校に行きたがらないと訴えることがあります。春休み、夏休み等の長期休業が終わったタイミングも同様です。冬休みは夏休みとは少し違った理由で子供が学校に行きたがらないと訴えることがあります。冬休みは子供にとって楽しいことが増える時期です。たとえば、クリスマスプレゼントで自分が欲しかったものをもらうことが多いです。また、お年玉をもらうことで、自分が欲しかったものを買うことも可能です。そういった自分の好きなものが増えた状況は子供が学校に行くハードルを少し上げることとなります。
さらに冬休み(年末年始)は社会全体が休みとなります。年末年始は仕事が休みの人が多く、家庭での生活のリズムも通常時とは異なります。遅くまで起きていたり、起きるのが遅くなったりすることがよくあります。そういった生活リズムの変化も子供にとっては学校へ行くハードルを上げることとなります。
これら要因が重なり、子供が学校へ行きたがらず困っているという相談を冬休み明けのタイミングで学校が受けることがあります。現在の学校を取り巻く状況としては「学校に登校すれば良い」「無理やりにでも登校させるべき」という考えではありません。学校以外の選択肢があることを踏まえ、子供のより良い成長のためにどういった選択が良いのかを子供や保護者に寄り添った立場で考えていくことが求められます。
しかし、ここできちんと考えておかなければならないのは、「学校に無理やり行かせるべきではない」という考え方は、ゲームや動画の視聴等「子供がやりたいことだけをやっていても良い」ということではないということです。一般論として、ゲームをしていることの方が学校に行くことよりも子供にとっては楽しいことでしょう。「ゲームをやっていたいから学校に行かない」ということは望ましい状況ではありません。子供に対し、そういったことを伝えていくことも大事でしょう。
登校渋りの原因がどこにあるのか探る
具体的な学校の対応としては、その子供の登校渋りの原因がどこにあるのかということを親や子供と一緒に探っていくことが必要でしょう。原因は1つではなく、いくつかの要因が重なり、絡まっていることが多いです。ゲームや動画等の子供の好きなこと、教師、友達、成績等の学校生活に関すること、起立性調節障害等の病気等のことが関係していることが考えられます。病気の可能性があるのであれば、医療機関の受診を勧め、医療機関と学校が連携していくことも必要でしょう。
そうやって学校に行きたがらない原因となっているものを1つ1つ整理していくことは、その子供にとってプラスとなります。結果として「その学校に通わない」ということになったとしても、その時点でのその子供の立ち位置を確認することができます。何らかの問題の発生は対応次第では、プラスにすることができます。「学校に行きたがらない」ということだけではありませんが、子供の1つ1つの経験を良い育ちにつなげていくことができると望ましいでしょう。
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